「ちょっと川島、もう少し前に出てもいいと思う」
「動く事さえできないGKも多いと思います」と、山野氏は鋭く反応した川島に一定の評価も与えている。確かに、世界最高のGKの1人に数えられるバイエルン・ミュンヘンのドイツ代表マヌエル・ノイアーも、ジャンプした壁の下を抜けるFK弾に一歩も動けず失点を許したことがある。
NHKの中継で解説した06年ドイツW杯日本代表の福西崇史氏は「今大会は上に決まった良いFKもある。上への警戒が強かったのか」と推測しつつ、「あのコースにグラウンダーであれだけ強いボールを蹴るのは非常に難しい。キンテーロがうまかった」と名手の技術に賛辞。川島の責任には直接触れなかった。
だが、川島への風当たりは強い。NHKの中継でスタジオ解説を務めた早野宏史氏はFKの場面を振り返り、
「川島のポジションが右に寄りすぎてたなと思った」
と落ち度を指摘した。
失点シーンに限らない。「守備範囲の狭さ」を露呈するシーンもあった。後半15分、コロンビアのふわりと浮かせるロングパスから、競り合いで日本のDFラインとGKの間にボールがこぼれると、ファルカオが抜け出しピンチ。長友が間一髪で対応し難を逃れたものの、中継で現地解説した06年ドイツW杯日本代表の福西崇史氏は
「ちょっと川島、もう少し前に出てもいいと思う」
と苦言を呈した。
後半終了間際にも、同様に競り合いからゴール前に転がってきたボールを長友がタッチラインにクリア。厳しい相手の詰めがあったわけでもなく、川島が対処してチームを落ち着かせることも可能だった場面だ。この直前には、「遅延行為」によるイエローカードをもらってしまっている。