「進行が下手すぎる」などとして、NHKのロシア・ワールドカップ(W杯)番組でスタジオキャスターを務めるタレント・佐藤美希さん(24)がインターネット上で誹謗中傷にさらされている。
ゲストや選手の名前を言い間違えることもあり、降板を求める声すら出た。その中で、サッカーにおいて佐藤さんの「先輩」に当たるタレント・足立梨花さん(25)が、声を上げた。
「森岡ゆうぞう、......りゅうぞうさん」
2018年6月14日に開幕したW杯で、佐藤さんはNHKのキャスターとして毎日のようにスタジオ出演し、局アナウンサーと2人で番組進行を担っている。ただ、その評判は決して芳しいものではない。手元の台本を見ながら話そうとするのだが、とにかく噛む。読もうとしても言い淀んだり、次のコーナーに進める言葉が出ずに不穏な間を空けたりすることも少なくない。
特に非難されてしまったシーンがいくつかある。16日未明に行われた今大会注目の1戦、B組のポルトガル対スペイン戦中継前のスタジオトークでのことだ。ゲスト解説に呼ばれた02年日韓W杯日本代表、ガイナーレ鳥取前監督の森岡隆三氏(42)に、佐藤さんは
「なぜスペインが優勝から遠ざかっているのかというのは、森岡さん、どういった点だと思いますか?」
と質問した。
スペインといえば、わずか2大会前の10年南アフリカW杯で優勝したばかり。前回ブラジルW杯でまさかのグループリーグ敗退となったことを念頭に置いていた可能性はあるが、森岡氏は動揺したのか「遠ざかっている...?」と苦笑い。「と言っても...」と話そうとしたが、佐藤さんは自ら質問を振ったにもかかわらず「まあなかなか良い選手はそろってますけど、優勝まではたどりつかない要因は?」と慌てたように割り込んだ。
この試合はもう1つ。ハーフタイムでスタジオに切り替わった際、佐藤さんは、
「スタジオには元日本代表で、森岡ゆうぞう、......りゅうぞうさん」
と、ゲストの名前を間違えるミスもしてしまった。
「頭ではわかってても口が動かなかったりするものです」
16日夕のW杯ハイライト番組でも「失言」があった。試合終了間際のオウンゴールで雌雄を決したB組のモロッコ対イラン戦(0-1)を振り返り、
「まさかのオウンゴールで試合は決まりましたけれども、『両クラブ』とも、やはりあの、守備が固いなという印象がありました」
と、ナショナルチームを「クラブ」呼び。
さらにA組のウルグアイ対エジプト戦。南米の強豪による猛攻を死守しながら、後半44分の1点にエジプトが泣いたこの試合、佐藤さんは、
「ウルグアイが攻めるシーンが多かったですが、カバーニ選手のセーブすごかったですね!」
と感嘆したが、選手名がおかしい。カバーニといえば、言わずと知れたウルグアイのストライカー。イタリア・セリエAとフランス・リーグアンで得点王も獲得した世界屈指の点取り屋だ。この試合、カバーニらウルグアイのシュートの嵐にファインセーブを連発したのは、エジプトの守護神エルシェナウィだった。
佐藤さんの誤りに、稲垣秀人アナウンサーがすかさず「えーと、エルシェナウィ選手ですね、エジプトの」とフォローに入ったが、佐藤さんは悪びれた様子もなく「はい! GKの選手。最後の最後に決められてしまいましたが」と話を続けていた。
連日の拙さに不満を持った視聴者は少なくなかったようで、ツイッターでも顰蹙を買うことになった。
「NHKのキャスターの佐藤美希さん、日本語がちょいちょい変な上に失礼、なのに自信満々でイラっとするので黙っててほしい」
「マジで見てられない。MCのくせに1番カミカミだし質問が糞すぎてゲストがまともに質問に答えられないし本当降板レベル」
「マジで佐藤美希の進行なんなの? 見ててイライラするわ」
出演を自ら告知する佐藤さんのツイッターにも、応援に混ざって「ちゃんと仕事してください」「降板して下さい」「小柳ルミ子の方がまし」などといった声が少なくない。
批判が渦巻く中で声を上げたのが、足立梨花さんだった。16日夜、ツイッターに
「みんなが思ってるよりテレビで喋るのって緊張するし頭ではわかってても口が動かなかったりするものですよ。私もスカパー!でマッチデーやってるころ酷すぎましたもん。でも自分でもわかってるしちゃんとやりたいのに思うようにできない。それがテレビなんです」
と投稿。その上で、
「みんなで成長を見守りましょうよ」
と呼びかけた。
「Jリーグサポーターはサトミキさんのことずっと応援してます」
投稿には佐藤さんの名前も、NHKやW杯という言葉も直接使用されていない。だがリプライを見る限り、ほぼ全ユーザーが佐藤さんに対するフォローだと受け取っている。
2人はサッカーにおいて先輩・後輩関係にある。足立さんはJリーグの公式女子マネジャーを10~12年の3シーズン務め、初年からJ1・J2の全37クラブ(J1は18クラブ、J2は当時19クラブ)のホームスタジアムを訪問するなど精力的に活動。国内サッカーファンの拡大に貢献してきた。その後もNHKを中心にスポーツ関連番組のMCやゲストとして出演し、今なおサッカー関係で活躍を続けている。
そして、15年からJリーグ女子マネジャーの後任となったのが佐藤さんだった。J1~J3全54クラブのスタジアムを訪れて盛り上げ、18年1月にはJリーグがその功績に感謝するという形で名誉マネジャーとすることを発表している。
佐藤さんは1月30日のブログで、「Jリーグどころか、サッカーの試合を観たことがなく、何人で行うスポーツかも分からない」状態からのスタートだったことを明かしている。キング・カズこと三浦知良選手すら知らなかったというから驚きだが、生観戦を継続する中で、「試合前のウォーミングアップは、試合中では見られない選手の笑顔を見ることができたりシュート練習でその日の調子が何となく分かったり」と独自の感覚を身につけた。
こうした姿を知るファンからは
「Jリーグサポーターはサトミキさんのことずっと応援してます」
「失敗しながらも一生懸命な姿はしっかり届いてます」
といった声も届けられている。佐藤さんは18、19日と出演していないが、NHKの番組表によれば20日のA組ウルグアイ対サウジアラビア戦の放送に出演する。