「水増し成長率」の上に築いた「砂上の楼閣」に?
以上の経緯を踏まえ、今回の原案をみると、極めて「緩い」のが特徴と言えそうだ。 財政を健全化するには、「入」を増やすか、「出」を削るか、つまり税収を増やす、支出を減らすという2つしかない。税収増には、消費税率引き上げなどの増税と、経済成長による税収増加の両面がある。
税収については、前提となる経済成長率を「実質2%、名目3%超」というバブル期並み以上の高成長としている。むろん、消費税率をさらに上げることは、当面は考えられないから、今回の計画は「水増し成長率」の上に築いた「砂上の楼閣」となりかねない。
2021年度時点で点検する3指標は、(1)PB赤字の国内総生産(GDP)比を1.5%程度、(2)債務残高のGDP比を180%台前半、(3)利払い費などを含めた財政赤字のGDP比3%以下――というものだが、(2)と(3)は厳しい抑制をしなくてもクリアできる見込みで、内閣府も「検証のための中間指標であって、目標ではない」と釈明するほどの大甘の基準。「黒字化目標を5年先送りする以上、中間チェックを言わないわけにはいかないという程度の意味しかない」(エコノミスト)。