財政再建の「大甘」新計画 「支出増」へは意欲満々

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   財政健全化の政府の新たな計画が固まった。借金に頼らず毎年度の政策経費をまかなえるかを示す国と地方の基礎的財政収支(PB)黒字化の時期について、従来は2020年度としていたのを25年度に、5年も先送りする一方、社会保障費を中心とした歳出抑制策には踏み込んでいないなど、総じて「経済成長頼み」が特徴だ。

   政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で18年6月5日、「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」の原案が示された。

  • 支出を増やす意欲ばかり
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PB黒字化、2020年目標を5年先送り

   原案のうち、財政健全化に関しては、(1)2025年度PB黒字化を実現する、(2)これに向けた中間検証として21年度時点の進捗状況を3指標で点検する、(3)19年10月に消費税率を10%に引き上げる、(4)増税後の景気下振れを防ぐため19~20年度に景気対策を実施する、(5)19~21年度を社会保障の「基盤強化期間」と位置づける――などを盛り込む。

   このように羅列すると、意味がわかりにくいが、この間の経緯を含めて整理すると、以下のようになる。

   そもそもPB黒字化の目標が導入されたのは小泉純一郎政権時代の2003年で、「10年代初頭に達成」という漠然としたものだったが、06年に「11年度」とされた。この時は、さして難しい目標とは思われなかったが、08年のリーマン・ショックなどを経て一段の財政出動を迫られたことから、09年に目標時期を「10年以内」(つまり、19年度)と先送りされ、民主党政権下の10年に「20年度」と定められた。

   それでも、2020年度黒字化目標は維持され、国際会議でも繰り返し表明した「国際公約」だった。安倍首相は目標堅持を口にする一方、消費税増税(税率8→10%)を14、17年の2度にわたって先送り。当然、PB黒字化は厳しくなるが、経済成長率を高く見込み、税収を多く見積もって辻褄合わせをしてきた。しかし、17年の総選挙に当たって、19年10月の消費税増税(税率8→10%)実施とともに、財政再建に回すはずの増収分の一部を子育て支援に回し、20年PB黒字化は先送りすると表明。新たな財政再建の道筋を今回の骨太の方針でまとめることになっていた。

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