薄毛の悩みを解決する再生医療 理研など、2020年の実用化めざす

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   男性の大きな悩みである脱毛、薄毛を解決する再生技術が注目を集めている。理化学研究所と医療ベンチャーのオーガンテクノロジーズ(本社・東京)が2018年 6月 4日、発表した。来年にも男性型脱毛症を対象とした臨床試験を始め、できれば20年にも実用化したい、としている。

  • 理研の薄毛再生技術は、患者の救いになるか
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コスト引き下げが課題に

   基本になったのは理化学研究所生命機能科学研究センター(神戸市)の辻孝さんら器官誘導研究チームの技術。チームは07年、生体の器官のもとを再生する器官原基法を開発した。毛を作る器官「毛包」の場合は、上皮性幹細胞、毛乳頭細胞という 2種類の幹細胞をコラーゲンのゲル液内に絞り出し、混ざることで毛包原基ができる。12年には再生した毛包原基を毛のないヌードマウスの背中に移植し、新たに毛が生え、しかも生え替わるのを確認した。

   今回はその人間版。ヒトの頭皮から上皮性幹細胞、毛乳頭細胞、それに毛の色を黒にする色素性幹細胞を加えて毛包原基を作る。従来は手作業だったが、16年に京セラと理研の共同研究で、大量に製造できる機械化に成功した。これにより、 1平方センチの頭皮から髪の毛 1万本分の毛包を約20日間で作れるようになった。

   チームは 7月から毛包原基の製造と安全性確認のための非臨床試験を始める。人間の毛包原基をマウスに移植、一定期間の観察のうえ、検査で毒性や腫瘍細胞の発生がないことを確認する。19年からは男性型脱毛症の臨床試験に入る計画だ。

   本人のips 細胞を使った加齢黄斑変性症治療で話題になったが、品質チェックの厳しい再生医療は治療費が超高額なのが最大の難点だ。脱毛症の治療費も当初は現在の植毛よりケタ違いに高額になる可能性がある。1800万人もいるといわれる悩める男性の救いになるにはコスト引き下げ研究も必要になりそうだ。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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