衝突の瞬間、強い揺れと「カランコロン...」 乗客「あの音は忘れられない」

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   「カランコロンと駆け抜けて行きました」。山陽新幹線の博多発東京行き「のぞみ176号」が人にぶつかり、ボンネットが破損した事故で、先頭車両の乗客がJ-CASTニュースの取材に応じた。

   博多―小倉駅間で強い揺れと異音を感じると、冒頭の甲高い音が聞こえた。駅員には「鳥がぶつかったのか」と質問。まさか人だとは思いもしなかったという。

  • 「のぞみ176号」ガラガラの先頭車両(写真は乗客提供)
    「のぞみ176号」ガラガラの先頭車両(写真は乗客提供)
  • 「のぞみ176号」ガラガラの先頭車両(写真は乗客提供)

「自動車の下に物が当たるような」

   のぞみ176号の事故は2018年6月14日14時前後、発生した。JR西日本の広報担当者によると、のぞみが小倉駅(福岡県北九州市)に停車した際、対向車線を走る列車の運転士が、ボンネットの破損に気付き、総合指令所に連絡。指令所が停止を指示して、のぞみは新下関駅(山口県下関市)で停止した。

   広報担当者によると、運転士は北九州市の「石坂トンネル」付近で「ドン」と衝撃音を聞いた。だが、過去に小動物とぶつかった時と同じような音だと思い、即座に停止する必要はないと判断。異常音の報告をしないまま走行を続けた。

   15日のJ-CASTニュースの取材に、広報担当者は「人が立ち入るような状況でなく、駅から何キロも離れている。過去の経験から小動物と判断したようだ」と説明した。

   異音に気付いたのは、運転士だけではない。15日のJ-CASTニュースの取材に応じた会社員の男性(35)は「先頭車両にいたのは2人、つまり体験したのは運転手と私だけです。おそらくですが」として、先頭車両に乗っていたと明かした。

   男性は先頭の16号車で、最後列1列のE席(左窓側)に座っていた。すると突然、博多―小倉駅間の走行中にガタンと異音がした。左の車輪側から強い揺れも感じた。車窓の外は真っ暗で、「報道されているように、トンネル入り口付近での出来事だったと思う」。

   男性は続けて、甲高い金属音のようなものを聞いた。それはまるで、左前方から1列A席付近の右後方へ「駆け抜けて行く」ように...

「カランコロンと軽い鉄板みたいに。先端のパーツ片だったのでしょうか。おそらく最初の異音と衝撃、そして金属音を聞いたのは、当該車両にいた私だけかと思います」

   初めて新幹線の下から聞こえた音に「あのカランコロン音は忘れられん」とツイート。「自動車の下に物が当たるような、それも軽めの物の感じが近しい」独特な音だったという。

「鳥がぶつかったのか」...返答なし

   男性によると、のぞみ176号は小倉駅でいつものように乗客の乗降を済ませた。小倉~新下関駅間で「異常を確認したので、緊急点検をする」旨のアナウンスが入り、新下関駅で停車。ドアも閉めて停止している横で、ホームの駅員はあわただしそうだった。

   その後、運行不能の車内アナウンスが流れた。先頭車両の外を見に行った男性は、先端部分のボンネットが割れており、血のような跡があることを確認。まさか人身事故だと思いもしておらず、近くの駅員に「鳥がぶつかったのか」と問いかけたが、返答はない。約2時間後に、あれは人だったと知った。

   男性は「小倉駅で、まだ運行を続ける気だったのか」と疑問を抱いている。事故時に「運転席でどれくらい騒音がしたか分からない」とした上で、「車両では結構、音も振動もあったので、気付かないものかなと思った」。その上で「いっそ小倉駅で乗客を下ろしても良かったんじゃないか」と持論を述べた。

   今回の事故を受けて、JR西日本の平野賀久副社長は15日、記者会見を開いた。それによると、小倉駅の駅員は停車中、先端部の破損に違和感を抱いたが、大きな異常と思わなかったので、発車を止めなかった。

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