ヤクルトが球団史上初の交流戦優勝を目前にしている。2018年6月14日には終盤の粘りで西武に逆転勝ちを収め、マジックナンバーは「2」に。最短で15日に交流戦首位が確定する。
しかし、仮にヤクルトがこのまま優勝を果たしたとしても、最高賞金1000万円とMVP選出の栄誉は他球団に渡ってしまう可能性があるという。えっ、ソレってどういうこと――!?
MVPはオリックスから!?
そのカラクリは、15年に変更された交流戦の表彰ルールにある。前年までは、交流戦の優勝チーム(最高勝率球団)から決めていたMVPが、「勝ち越しリーグ」の1位球団から選ばれるようになったのだ。
つまり、ヤクルトが交流戦で優勝したとしても、最終的にセ・リーグが勝ち越しを決めていなければ、MVPはパ・リーグ内の交流戦1位球団(14日時点ではオリックス=総合2位=)から選ばれるというワケだ。
賞金についても同様だ。
過去は優勝チームに3000万が贈られていたが、15年からは総額2500万円を勝ち越したリーグに上位から順に分配(1位1000万、2位500万、3位400万円、4位300万、5位200万、6位100万)する決まりとなった。それとは別に、最高勝率を記録したチームに500万円が贈られる。
となると、もしヤクルトが優勝しても、セが勝ち越していなければ賞金は500万円止まり。全体では2位以下のパ球団の方が、多くの賞金を手にすることになる......そんなケースも起こり得るのだ。
14日現在、交流戦のリーグ勝敗はセが40勝、パが44勝。もちろん今後の展開次第では、セの逆転も十分にあるゲーム差だ。ただ、残りのカードはパ・リーグ側の本拠地で行われる(雨天中止の振替試合を除く)ことを考えると、やはり現状では「パ優勢」の感は否めない。
ヤクルトファンは複雑...「葛藤がすごい」
こうした表彰ルールにやきもきしているのが、ヤクルトファン達だ。
賞金やMVPのためにはセ球団を応援したいところなのだが、今後のペナントレースを考えると、そういうワケにもいかない。14日現在、ヤクルトは首位広島と4.5ゲーム差の2位。2位以下は混戦状態で、1つの勝敗で順位が大きく上下する。
それだけにツイッターやネット掲示板には、複雑な胸中のヤクルトファンから、
「他のセ・リーグ負けてほしいのと、ヤクルトから交流戦MVP出したいから他のセ・リーグも勝ってほしいのと葛藤がすごい。どうしよう」
「セ・リーグでの差をつけたいけどMVP選出とかもろもろ欲しいからジレンマ」
「セ・リーグ頑張れって気持ち半分抜け出したい気持ち半分。複雑...」
といった声が相次いでいる。
15年の規定変更後、交流戦優勝は3年連続でパ球団。このときは、リーグ全体で見てもパが勝ち越していた。もし、このままヤクルトが優勝してセが負け越した場合は、MVPがV球団から選ばれない史上初の珍事が起きる。
ところで、日本野球機構(NPB)はなぜこうした表彰ルールを定めたのか。J-CASTニュースが15日、NPB広報室の担当者に尋ねると、
「リーグ同士の対決色を濃くすることが狙いです」
との説明があった。