2018年6月12日に行われた米朝首脳会談で、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が、「安倍晋三首相と会ってもよい」などと話していた、との見方が出てきた。
日本政府が日朝首脳会談実現に向けて北朝鮮側と接触している可能性もあるが、北朝鮮の国営メディアは「権力を悪用し不正腐敗を日常的に行う」などと安倍政権批判を続けている。こういった中で信頼関係を醸成して会談が実現できるか、両国による駆け引きが続きそうだ。
正恩氏「安倍晋三首相と会ってもよい」?
日朝首脳会談をめぐっては、産経新聞が6月13日朝刊で、正恩氏が「安倍晋三首相と会ってもよい」と話したと報じ、読売新聞は「日朝両政府関係者が複数回にわたって水面下で交渉を行っていたことがわかった」と報じた。安倍氏は6月12日にトランプ氏と電話会談しており、その中で正恩氏の意向を伝えられた可能性もありそうだ。
菅義偉官房長官は6月14日午前の記者会見で、トランプ氏との電話会談について
「詳細については述べることは控えたい」
とする一方で、拉致問題について
「我が国としては北朝鮮と直接向き合って解決すべき問題」
と発言。首脳会談実現への意欲をにじませた。
党首討論の枝野発言、佐川氏の不起訴も報じる
ただ、そんな中でも北朝鮮は対日批判を続けている。労働新聞は6月14日付の紙面で、「安倍政権の首を締める不正スキャンダル事件」と題した記事を掲載。「キム・スンゴル」という労働新聞記者の署名が入った約1600字に及ぶ記事で、5月30日の党首討論の内容を詳報。安倍氏が森友学園をめぐる答弁を変遷させていることについて立憲民主党の枝野幸男代表が「卑怯」だと非難したことや、決裁書類の改ざんで財務省の佐川宣寿・前理財局長らが処分されたことを説明しながら、
「このような状態で、安倍がスキャンダルへの関与を認めると、権力の座から追い出されかねない。そのため、安倍はすべてを否定し責任転嫁するために隠蔽行為に奔走している」
と指摘した。さらに、佐川氏の不起訴で安倍政権がスキャンダルの幕引きを企てているとして、
「安倍が、今回の党首討論で再び露骨な発言で国民をだまして馬鹿にしたことからも、彼が政権を維持するためにどのようにあがいているかよくわかる。日本の民心は権力を悪用し不正腐敗を日常的に行う安倍政権に背を向けている」
などと安倍氏を罵倒した。