「明らかにスイス戦とは違った」こと
実際、高い位置でボール奪取に成功した場面も複数ある。後半42分には、途中出場の宇佐美貴史と香川が相手選手を囲んでボールを奪い、香川から原口元気、さらに大迫勇也につないでシュート、ギリギリのタイミングでオフサイドとなったが、ゴールネットを揺らしている。
格上・コロンビア相手には、守って耐える時間帯が長くなることは必至。香川自身、試合後のインタビューで「守備の局面をアグレッシブにやり続けたことで、攻撃のリズムが生まれた。このベースを忘れずに準備したい」と守備の重要性を口にしている。
一方のスイス戦では、1トップで先発した大迫が単独で前線のプレスに奔走する時間が長かった。複数メディアによれば試合後、「みんなでカバーして走る距離を減らし、守備できるかは課題。あのやり方だとどの選手も30分で死ぬ」と連携の希薄さに不満。トップ下の本田にも責任はある。
2点目は攻撃面。セレッソ大阪時代の同僚、左サイドハーフで先発した乾貴士と阿吽の呼吸でパラグアイゴールを脅かした。乾の2点はいずれも香川のアシストで、特に1点目は単なるラストパスだけではなかった。ダイレクトで乾に渡した香川は、すかさず乾とクロスするように斜めにスプリントし、相手を引きつけてスペースを演出している。
サッカー解説者の中西哲生氏は13日、ツイッターで「やはり乾。彼に時間とスペースを与えられれば結果は出せる。それを創り出した香川と柴崎。アタッキングサードへの侵入の質が明らかにスイス戦とは違った」と、乾と香川、さらにボランチ・柴崎岳らによる攻撃の質を、本田らが先発したスイス戦と比較して高く評価。「ここに大島(僚太)が加われば、グループリーグ突破への可能性が見い出せる」とまで考えている。
このように噛み合った要因は何だったのか。乾の試合後インタビューの言葉を借りれば、3点目に「みんなが走って、戦ってやった結果だと思う」ということがあげられる。スイス戦後に、長友佑都が「走る意識をもう一度みんなが持つべき」として、「圭佑もまだまだ走らないといけない」と指摘していたのとは対照的だ。