「時間がなかったからだ」
共同声明では、北朝鮮の体制保証を打ち出す一方で、「非核化」の具体的内容は明らかにならなかった。こういったことを念頭に置いた
「北朝鮮側から何か見返りはあったのか」
という質問には、
「聞いている。いつもメディアとケンカしたいわけじゃない。特に今日はそうだ。これは非常に重要だ」
「自分は何も断念していない。25時間寝ていない。でも、それが適切だと思った」
などと、夜を徹して閣僚らと会談の準備に臨んだことを強調した。政府のトップが睡眠不足で首脳会談に臨んだことを明かすのは珍しく、適切な意思決定ができたのか議論を呼びそうだ。
「検証可能」や「不可逆的な」といった文言を合意に盛り込めなかったことも問題視された。トランプ氏は、
「時間がなかったからだ。ここには1日しかいられない。(米朝首脳は)一緒に何時間も集中的に話し合った。(非核化に向けた)プロセスは行われるだろう」
と釈明し、事前に十分な詰めの協議が行えないまま首脳会談に突入したことをうかがわせた。
とりわけ問題になりそうなのが、米韓合同軍事演習をめぐるやり取りだ。トランプ氏は、在韓米軍については
「本国に帰れるようにしたいが、方程式の一部にはない」
と、現時点での削減を否定したものの、軍事演習については、今後の交渉によるとしながらも、
「戦争ゲームをやめ、多額の節約ができるだろう」
と発言。「韓国との軍事演習をやめるのか」という確認の質問には
「我々はこれを戦争ゲームと呼んでいる。非常に費用がかかる。韓国も(費用負担に)貢献しているが100%ではなく、話し合わなければいけない問題だ」
だとして費用負担への不満をもらし、軍事演習を「挑発的」だとも表現。
「包括的で完全な取引について交渉している状況で、戦争ゲームをするのは不適切」
だと述べた。