「#起業しろ」――と、ひたすらに訴え、若者に起業を勧め続けているユーザーがツイッターで話題になっている。
「若者を起業させたすぎておかしくなったおじさん」としてインターネットに現れた人はどんな人物なのか。
狂おしいほどの起業プッシュ
「若者を起業させたすぎておかしくなったおじさん、もっと広まるべき」
のコメントと共に投稿された、あるユーザーのツイートのスクリーンショット。そこには兎にも角にも起業を推奨するツイートが並べられていた。例えば、
「平成の次の新しい元号が何になるのか?とタイムラインでみんな気にしてますが、僕はもちろん『起業』だと思う。元号を『起業』にするために、みんなで起業しよう。2019年は起業元年なんだ。#起業しろ」
「若者は生きてるだけで起業してるも同然。」
など熱意溢れる投稿の数々だった。
この紹介ツイートは2018年6月12日夕時点で、「リツイート」10000件、「いいね」は18000件を記録している。
これらスクリーンショットの発言の主は、「木下 慶彦/Skyland Ventures(@kinoshitay)」さんだ。日頃から、ハッシュタグ「#起業しろ」を用いて若者の起業を勧める投稿を行っている。
その他のツイートについて調べてみると、
「おはようございます。今日は雨ですね。練習出来ずくすぶってる全野球少年に向けて言いたい。夢にときめけ!明日にきらめけ!起業しろ! #起業しろ」
「ゲーテは死ぬときに『もっと光を!』と言ったらしいが、ぼくはやはり、主治医の先生に『起業しろ!』と言いながら死にたい。#起業しろ」
「『ありがとう』を聞かせ続けた水は結晶がきれいという都市伝説があるが、もちろん科学的な根拠はない。しかし、起業しろといわれ続けた若者は起業する。水にありがとうという暇があったら、若者に起業しろと言い続けたい。みんな #起業しろ」
と、寝ても覚めても起業させたいことがうかがえる。
上記の、自らのツイートを紹介した書き込みに対しても、投稿者が京都大学に在学しているとプロフィールに記載していたため、
「やった!京大生にほめられた。 #京大生は起業しろ #起業しろ」
と、この場においても起業を勧めるほどの気の入れようだ。
起業系男子の野望とは
何故ここまで起業を勧めるのか。
J-CASTニュースでは2018年6月12日に、発言の主である木下慶彦さんに電話を通じて取材を行った。
木下さんは現在32歳で、ベンチャー企業向けの投資を行うベンチャーキャピタル(以下、VC)の「Skyland Ventures」の代表と役員を務めている。この「Skyland Ventures」は木下さん自身が12年に「起業した」会社である。
実際に月に50人、年間で600人ほど起業志望者と面談を重ねているといい、カウントはしていないというが、その中から200人を実際に起業させているはずだとのこと。「Skyland Ventures」としては現在、約60社に対し投資を行い、総額で14億円を運用している。
早速、「#起業しろ」について使い始めた時期やきっかけについて聞くと、
「昨年末です。YouTubeチャンネルを始めたのと同じ時期に始めました」
と、意外にも最近から使い始めたものであった。また、このハッシュタグについて、
「(木下さんの)キャッチコピー」
と位置付けている。それ故、木下さんの活動からは外せないキーワードなのだ。
しかし、これほどまでに起業を勧める力の源についても気になる。そのことについて、「企業を生み出すVCが少ない。企業が増えた方が仕事にもなるし、日本に必要だ」とした上で、こう強く訴える。
「目の前にいる人を起業させるのが仕事」
とはいえ、こうやってツイッターでつぶやいただけで、実際に起業をする人がいるのだろうか。その点について質問すると、
「実際にこれで起業をする人は闘う準備ができている。起業するには個人でやっていた事業が上手くいったなどのきっかけがある。『#起業しろ』はそういった起業するきっかけ」
と、話した。
起業を勧める活動はこれからも続けていくとのことで、今後については、「動く人が増えたほうが良い。日本でスタートアップする人が増えてほしい」。
最後に、木下さんを「若者を起業させたすぎておかしくなったおじさん」と紹介した投稿の「リツイート」が伸びていることについては、活動を広めてもらったと少々照れ気味だった。