ロックバンド「RADWIMPS」のボーカル・野田洋次郎さんが新曲「HINOMARU」の歌詞について謝罪文を投稿したことを受け、ミュージシャンをはじめとする一部の著名人に「違和感」を示す向きがみられる。
「謝罪する必要なんてないと思う」。「ウルフルズ」のギター・ウルフルケイスケさん(活動休止中)はツイッターで、はっきりとそう主張した。
野田さん「傷ついた人達、すみません」
RADWIMPSの新曲「HINOMARU」は、2018年6月6日に発売した新シングル『カタルシスト』に収録しているカップリング曲だ。「風にたなびくあの旗に 古よりはためく旗に意味もなく懐かしくなり」との一節から始まり、「気高きこの御国の御霊」「日出づる国の 御名の下に」と歌い上げる。こうした歌詞が「軍歌のようだ」などとして、ツイッターなどインターネット上で賛否を呼んでいた。
ネット上の批判を受けて野田さんは11日、ツイッターに英語と日本語で「HINOMARUの歌詞に関して軍歌だという人がいました。そのような意図は書いていた時も書き終わった今も1ミリもありません」と釈明。曲のコンセプトについて
「この曲は日本の歌です。この曲は大震災があっても、大津波がきても、台風が襲ってきても、どんなことがあろうと立ち上がって進み続ける日本人の歌です」
と説明した。
一方、独特な歌詞については「日本の歌を歌う上で歴史の上に成り立っているこの今の僕ら、その想いものせたかったので古典的な日本語を用いたのも一つの要因かもしれません」と説明。その上で、
「色んな人の意見を聞いていてなるほど、そういう風に戦時中のことと結びつけて考えられる可能性があるかと腑に落ちる部分もありました。傷ついた人達、すみませんでした」
とお詫びした。
野田さんの謝罪はツイッター上で、またも議論を呼ぶこととなった。「自分が書いたものに対して全然わかっていないよな」「このバンドの歌は二度と聴く気がしない」とさらなる批判を招いた一方で、「謝罪する必要はない」との見方も広まった。ミュージシャンをはじめとする著名人からもそんな声が上がっている。
今井絵理子「表現の手法は作家の自由」
たとえば、ウルフルズのウルフルケイスケさんは、自身のツイッターで「RADWIMPSの野田君、謝罪する必要なんてないと思う」と投稿。「自由って何?と違和感を感じる」との感想もつづった。
元「SPEED」の今井絵理子・参院議員も、自身のブログで「表現の手法は作家の自由であり、言葉遣いや色使いに正しいも間違いもありません。決して誰かの同意や批判を得たくて作品をつくるわけでもありません。出来上がった作品がすべてなのです」と持論を展開。その上で
「野田洋次郎という一人の作家の想いや考えをストレートに偽りなく歌詞に綴り、音を奏でることはいけないことでしょうか」
とし、「受け手の個人的な解釈の拡散により作家に釈明と謝罪までさせてしまう今の社会の風潮には賛成することができません」と主張した。
ミュージシャンの他にも、タレントのフィフィさんは「謝罪する必要あるのかな」と投稿、お笑いコンビ「飛石連休」の藤井ペイジさんも「こんなものは言葉狩りだ」とツイートした。
また、ロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION」の後藤正文さんは
「『言いたいことがあるなら音楽でやれ』という人たちが、僕が書いた歌詞をちゃんと読んで評価してくれたことはほとんどないし、インタビューなどの切れ端を釣り餌にして盛り上がる人たちが音楽をきちんと聞いてくれている手応えも少ない。難しいよね。どうあれ、僕らは利用されがちだよね」
と投稿。その1分後に「今回のRADの件も、アジカンの後藤は何を発するんだというツイートが随分RTされてるみたいだった(略)言いたいことあるなら、自分で言えよ」とつぶやいていた。