新潟県の米山隆一前知事の辞職にともなう知事選が2018年6月10日に投開票され、自民、公明両党が支持する前海上保安庁次長、花角英世氏(60)が、立憲民主など野党5党と衆院会派「無所属の会」が推薦する元県議、池田千賀子氏(57)らを破って初当選した。
森友・加計問題や財務省のセクハラ問題で支持率低迷が続き、「安倍おろし」で9月の総裁選での3選に黄信号が灯りつつある中での花角氏の辛勝で、自民党の二階俊博幹事長も「追い風、いい風が吹いてきたという判断をしても間違いない」と安堵した。
花角氏、「県民党」掲げて政党色薄める
知事選は東京電力柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)の再稼働や、人口減少問題が主な焦点。原発問題については、花角氏は
「米山前知事が行っていた検証結果が示されない限り、再稼働の議論を始めることはできない」
などと将来的な再稼働に含みを残す一方で、池田氏は「できるだけ早急に原発ゼロ」を掲げていた。
与野党ともに国政選挙並みの体制で臨んだ。二階氏も選挙戦終盤の6月6日には長岡市の長岡商工会議所などで行われた非公開の会合に出席し、花角氏への支持を訴えた。ただ、街頭演説はしなかった。花角氏は「県民党」を掲げ、政党色を薄めようとしていたためだ。
二階氏は6月10日深夜、花角氏に当選確実が出た直後のぶら下がり取材で、花角氏がかつて運輸相時代の秘書官だったことの触れながら、
「頭から足の先まで知っております。知っておりますが、なかなか立派な男です。知事になれば全国有数の知事になるだろうということを私は最初のころから言っておりましたが、結果的にそういう基盤が出来て、立派な知事になるといっても選挙に勝たなければしょうがないんだから」
と選挙戦を振り返った。二階氏にとって絶対に落選させるわけにはいかなかった、というわけだ。