2018年6月12日に控えた米朝首脳会談が「セレモニー」以上のものになるか微妙な情勢になってきた。会談の最大の焦点は、北朝鮮が「朝鮮半島の非核化」に向けた意思と具体的な過程を示し、それに対して米国がどんな見返りを与えるか、だ。
ただ、今回の会談に向けた事前協議では、「非核化」の定義をめぐる両国間のすり合わせもできていないとの見方も出ている。「非核化」の具体的内容をめぐる議論は7月の「平壌会談」に持ち越されるとの見方も出ている。
双方が「朝鮮半島の非核化」という言葉を使うが...
北朝鮮の国営朝鮮中央通信は6月11日、正恩氏が10日午前にシンガポールに向けて出発する様子を報じた。
その中で、会談の意義について「変わった時代の要求に応じて新しい朝米関係を樹立して朝鮮半島の恒久的で強固な平和体制を構築する問題、朝鮮半島の非核化を実現する問題をはじめ、互いに関心を寄せる問題に対する幅広くて深みのある意見が交換される」
などと強調した。
一方、ポンペオ国務長官は11日午前、核問題を巡る6か国協議の米国の首席代表を務め、今回の会談の事前協議を担当したソン・キム元駐韓大使と朝食をとる写真をツイートし、
「我々は完全、検証可能、不可逆的な朝鮮半島の非核化に力を注ぐ姿勢に変わりはない」
と書き込んだ。双方が「朝鮮半島の非核化」という言葉を使うが、その解釈は割れているようだ。
6月12日は「非核化と関係改善を盛り込んだ包括的かつ宣伝的な合意」?
会談を翌日に控えた6月11日、米国のソン・キム氏と北朝鮮外務省の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官らによる実務協議が行われている。ロイター通信は、この背景について、米高官の話として
「事前協議では非核化の定義をめぐる溝はほとんど埋まらず、核兵器廃棄に向けた北朝鮮からの具体的な確約に関する合意も得られていない」
と報じている。このままでは6月12日については実質的なゼロ回答もあり得る、ということのようだ。
そんな中で韓国の中央日報が報じたのが、「7月平壌会談」説。「会談の推進過程に詳しいシンガポール現地情報筋」の話として、6月1日に金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長がトランプ氏に手渡した正恩氏の親書の中に、7月の訪朝を要請する内容が含まれていたという。
こういったことを背景に、中央日報では、
「12日の首脳会談で双方は非核化と関係改善を盛り込んだ包括的かつ宣伝的な合意をした後、北朝鮮の非核化など細部の内容は7月の平壌首脳会談で議論する形を模索しているというのが、関係者らの説明だ」
などと分析している。6月12日の会談は、非核化のプロセスに向けた入口に過ぎない、ということのようだ。