NHKアニメ「おじゃる丸」役を務めた声優の小西寛子さん(42)が、NHK側から18年前に降板を強いられたとツイートし、波紋が広がっている。
J-CASTニュースの取材に対し、NHKは小西さんの「告発」を否定したが、小西さんの事務所は「事実はある」と反論している。
「生意気だ!」「仕事できなくしてやる」と言われたと主張
小西さんは、1998年から初代おじゃる丸役を務め、一躍時の人になった。ところが、2000年いっぱいで出演がなくなり、ファンらから一体何があったのかと長年うわさになっていた。
そして、2018年6月1日になって、小西さんは、ツイッター上で声優活動を休止したからおじゃる丸役を降板したのかと聞かれ、初めて降坂の経緯を説明した。
それによると、NHK側から「収録」だと言われて、おじゃる丸の声を録ったが、アニメ番組本編用ではなく、おじゃる丸人形や音声商品の声に流用して販売していたという。小西さんは、このことを知らされていなかったため、事務所を通じて「これはなんですか?」と質問した。
すると、NHKエンタープライズの番組プロデューサーから、「生意気だ! 黙って言うとおりにしないとアニメ業界で仕事できなくしてやる」と言われたという。
その後、NHK側からは、アニメ本体の収録の話が来なくなったという。小西さんの事務所「Office Squirrel」によると、「音声商品」の件があったことで、アニメ番組を降ろされたと説明している。この時のプロデューサーの音声は押さえてあるという。
また、小西さんは18年経って、「NHK関連でまた同じ様な事件が事務所関係者に起こった」とNHK絡みで新たなトラブルが発生したと明かした。今回の件については、音声だけでなく、電話やメール、振り込み指示など、その他の証拠も押さえているといい、NHKの経営企画局に書面を出し、回答を待っている状態だという。
小西さんは、「おとなしく謝罪とか待っているが、もうそろそろ限度も過ぎるので無視すれば当然に全部公開する」とツイッターで不満をぶつけている。
「プロデューサーの音声は、テープに録ってある」
NHKの広報局は6月11日、小西寛子さんのおじゃる丸役降板について、次のように取材にコメントした。
「ご指摘のような音声の無断使用の事実はないと聞いています。関連団体の担当者もツイッターにあるような発言はしていないと話しており、外部の関係者を含めさらに確認を進めています。契約満了まで務められており『収録の話が来なくなった』というものではないと考えています」
今回新たに起きたトラブルについては、おじゃる丸のアニメとは関係がないとしたが、「(NHKの:編集部注)関連団体の元社員に関わるものでしたが、適切に対応しました」と言い、問題はないとしている。
これに対し、小西さんの所属事務所は、J-CASTニュースの取材に対し、NHKのコメントに全面的に反論した。
18年前のおじゃる丸プロデューサーの音声については、テープに録ってCDに焼いてあるとして、「事実はあると考えています」と担当者は話す。
「NHK側は、著作隣接権侵害を認めると大ごとになってしまうと考えているのでしょう。広報局は、『聞いている』ということですので、事実がないとは断言していないように思えます」
とも語る。
今回、新たに発生した「事件」については、おじゃる丸とはまったく別のことで、数か月前にNHK関連会社と提携している業務で事務所の代表が小西さんと同様な被害に遭ったという。
「NHK関連会社は、事実関係を認めて、執行役の方から電話で謝罪を受けています。しかし、書面での回答がまだありませんので、適切な対応ではないと思います。この件については、NHKが広報すべきだったのでは。和解の余地はありますが、NHKの対応によっては、法的な手段も検討することになると思います」