日本化学会がPV削除 教授と学生の「恋愛」ストーリーで「女性軽視」?

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   国内最大の化学学会「日本化学会」(東京都千代田区)は2018年6月11日、YouTubeなどで公開していたプロモーションビデオ(PV)を削除した。動画の内容に、複数の会員から「不適切ではないか」との指摘が寄せられたためだ。

   削除されたPVは、既婚者の男性教授に恋心を抱く女子大生が主人公。彼女が教授への恋愛感情を募らせていく様が描かれたストーリーに、ツイッターなどで「化学を専攻する学生を馬鹿にしすぎ」といった反発が広がっていた。

  • 削除された動画のワンシーン。女子大生が既婚者の教授に恋をするストーリーだった
    削除された動画のワンシーン。女子大生が既婚者の教授に恋をするストーリーだった
  • 削除された動画のラストシーン。見つめ合う女子学生と教授
    削除された動画のラストシーン。見つめ合う女子学生と教授
  • 削除された動画のワンシーン。女子大生が既婚者の教授に恋をするストーリーだった
  • 削除された動画のラストシーン。見つめ合う女子学生と教授

「今から始まるケミカルストーリー」

   問題視された動画は4月17日、学会公式サイトやYouTube上で公開された。同学会が初めて制作したPVで、タイトルは「日本化学会オリジナルムービー」。動画の説明欄には、次のようなあらすじが記されていた。

「主人公は化学に恋する女子大生ユナ。 大学3年生の彼女は、化学のことで頭がいっぱい。 そんなある日、彼女の心を揺さぶる運命的な出会いが訪れる。ユナの日常はクロムメッキのように光り輝き始め、その未来はセシウム時計のように揺るがないはずだった。あの一言を聞くまでは...」

   こうした説明文が示すように、今回のPVは全体としてコメディ調だった。

   まず冒頭では、パンをくわえた主人公のユナが、以前から憧れの対象だったという男性教授・日野と正面から衝突するシーンがある。その後、日本化学会に入会したユナは、学会で活躍する日野の姿を見て彼への恋心を深めていく。

   だが、後に日野が既婚者で子持ちだということが判明。さらには、日野が同級生と「不倫」をしているという噂まで浮上するなど、ストーリーは急展開を見せていく。最終的には、紆余曲折を経て見つめ合うユナと日野の姿をバックに、

「今から始まるケミカルストーリー」

というテロップが表示され、どこか含みを持たせるような形でPVは終わる。

   このように、女子大生と大学教授の恋愛模様を描いたストーリーに、疑問や違和感を覚えた人は少なくなかったようだ。ツイッター上では、PVの公開から1か月以上が経った6月9日頃からその内容に大きな注目が集まり、

「女性が科学者を志すのは『科学への興味・探求心』があるからで、男性科学者への恋愛感情なんかじゃない」
「この女学生を、女先生に憧れを抱く男子学生に置き換えても、日本化学会は変だと感じないのだろうか」
「これ、ちゃんと監修したん?上の方々は女子学生にこういう印象を持ってるのだろうかと邪推してしまう」

といった否定的な意見が次々と書き込まれる騒ぎとなった。

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