保阪正康の「不可視の視点」 
明治維新150年でふり返る近代日本(4) 
帝国主義的「国家像」と「国民像」(その2)

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対外戦争ない3世紀は「武に対して『冷めた目』」

   開国した日本にやってきたイギリスのベテラン外交官オールコックは冷静に日本人の性格を見つめている。彼は日本語を学び、そして日本人の生活を理解する。そこには「政府の政策により国民は疑い深い。侍役人はウソをつき、ほかの侍および庶民は礼儀正しく善良である。低階層の人にも奴隷感情はない。固苦しいまでの形式主義。したがって人への気遣いが強く、敬語の使用が厄介である。国民・国家への誇りが強い。子供は<自然の子>といってよいほど奔放に遊ばせる。日本は子供の楽園である」といったことが書いている。

   こうしてみてくると、この16世紀から19世紀まで、日本人の性格は、道理に従い、名誉心を重んじ、礼儀正しく、好奇心も強い、しかし上下の身分差があり、集団主義的であるといった性格を持ち続けていたことになるのではないか。とくにこの3世紀は、対外戦争を体験していないために、武に対しては冷めた目を持ち、武術にむかう精神とエネルギーを人格陶冶の手段に変えていく理性や知性を持っていたといえるのではないか。

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