米朝首脳会談を前に、トランプ大統領の頭痛の種がひとつ増えそうだ。シリアのアサド大統領がシリアに着任した北朝鮮の文正男(ムン・ジョンナム)大使から信任状を受け取る際に、北朝鮮を訪問し、金正恩・朝鮮労働党委員長と会談する意向を表明したためだ。仮に実現すれば、正恩氏が外国首脳を平壌に迎えるのは初めて。
両国は今でも米国から「テロ支援国家」に指定されたまま。2018年2月には国連安保理が、北朝鮮がシリアに化学兵器製造に利用できる部品を提供していたとする報告書をまとめたばかり。会談の時期は不明だが、米国からすれば「悪だくみ」の内容が懸案になりそうだ。
アサド大統領「金正恩閣下に会う決心である」
アサド氏の訪朝の意向は、5月30日に信任状捧呈式で示されたとされる。シリア国営のSANA通信は、同日中に捧呈式が行われたことを短く報じたが、北朝鮮の朝鮮中央通信が6月3日、アサド氏の発言内容に踏み込んで報じた。アサド氏は
「今後、(北)朝鮮を訪問して金正恩閣下に会う決心である」
と述べたという。さらに、
「金正恩閣下の卓越した政治実力、賢明な指導によって最近、朝鮮半島で大きな肯定的出来事が起こっていることを全世界が歓迎している。金正恩閣下が最後の勝利を収め、朝鮮の統一を必ず実現すると確信する」
などと述べ、南北首脳会談をはじめとする融和ムードを高く評価。さらに、シリア政府は、北朝鮮指導部の「全ての政策と措置を全面的に支持」することを表明したという。