日本橋が狙う一石二鳥 景観改善に加え...

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   国の重要文化財・日本橋(東京都中央区)の上を走る首都高速道路のうち、神田橋ジャンクション(JCT)から江戸橋JCT間の1.2キロの区間が地下トンネルとなることが決まった。

   国土交通省、東京都、首都高速道路会社の3者が進める検討会が2018年5月22日、地下ルート案を公表した。今後、東京都知事が都市計画として決定すれば着工となる。国交省などは20年東京五輪.パラリンピック後の着工を目指すという。

地下ルート案を公表

   日本橋周辺の首都高は、1964年の東京五輪前に開通したが、無骨な高架橋が日本橋川や二重アーチ橋の真上を走り、都市景観を損ねているとの批判があった。日本橋周辺の首都高が地下トンネルとなることで、徳川幕府が1603年に建造し、五街道の起点だった日本橋は東京五輪前の姿を取り戻すことになる。1911年に建設された現在の二重アーチ橋は、これまで首都高の陰に隠れ目立たない存在だったが、観光名所として再び注目されそうだ。

   問題は具体的な地下ルートの確定と費用負担だった。日本橋周辺の首都高は老朽化と付近の都市再開発に合わせ、竹橋JCT~江戸橋JCT間(約2.9キロ)が大規模更新区間となっていたが、このうち地下ルートは再開発が進む日本橋周辺に限ることになった。

   公表された地下ルート案は合計1.8キロで、実際の地下トンネル部分は1.2キロ。このうち新設のトンネル区間は0.7キロだ。残るトンネル区間0.5キロは神田橋JCTから既存の八重洲線トンネルを活用し、コスト削減を図る。地下トンネル区間以外はトンネルに続く地上の取り付け道路となる。

老朽インフラ再生のモデルケースとなる可能性

   今回の日本橋の地下ルート化は、都市景観の改善だけでなく、交通渋滞の解消にもつなげる考えだ。交通渋滞が激しい江戸橋JCTを一部改修し、現在は大型車が通行できない八重洲線と東京高速道路(KK線)を有効活用することで、慢性的な渋滞を緩和するという。

   具体的な建設費用と負担割合については、今夏の次回検討会で3者が議論する。地下ルートの計画地には日本橋川が流れ、地上にはJR線、地下には地下鉄(半蔵門線、銀座線、浅草線)が走る。東京電力の電力線やNTTの通信線、上下水道など地下埋設物も多い。「地下ルートはこれらの地下埋設物や地下鉄との干渉を回避しなくてはならず、限られた空間を縫うように走る難しい工事になる」(国交省)という。それでも建設コストを抑えながら、都市景観の向上と渋滞緩和に成功すれば、日本橋が老朽インフラ再生のモデルケースとなる可能性がある。

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