ロシア・ワールドカップ(W杯)に臨むサッカー日本代表メンバー23人が2018年5月31日に発表され、代表の西野朗監督は「グループリーグ(GL)突破」を目標に掲げた。
どうすれば「GL突破」ができるのか。サッカージャーナリスト・石井紘人氏はJ-CASTニュースの取材に「とにかく初戦のコロンビア戦で勝ち点を取ること」を最低条件にあげる。
「『対応力』を選手たちに求めたい」
W杯メンバーにサプライズはなかった。GKは川島永嗣(35)、東口順昭(32)、中村航輔(23)。DFは長友佑都(31)、槙野智章(31)、吉田麻也(29)、酒井宏樹(28)、酒井高徳(27)、昌子源(25)、遠藤航(25)、植田直通(23)。MFは長谷部誠(34)、本田圭佑(31)、乾貴士(29)、香川真司(29)、山口蛍(27)、原口元気(27)、宇佐美貴士(26)、柴崎岳(26)、大島僚太(25)。FWは岡崎慎司(32)、大迫勇也(28)、武藤嘉紀(25)。
選考にあたって西野監督は「前に『ポリバレント』(複数ポジションをこなせること)と言ったが、いろんな可能性を考えたいという基準はある」「『対応力』を選手たちに求めたい」と一定の基準を示した。
W杯の目標は「少なくともGL突破」。GLで戦うコロンビア、セネガル、ポーランドの3戦を考えるにあたり、
「ギリギリのゲームがあるかもしれないし、圧倒できるゲームもあるかもしれない」
と、様々なシチュエーションに対応できるチームをつくっていく考えを示した。
では、実力で3国に劣る日本がGLを突破し16強進出を果たすには何が条件となるか。サッカージャーナリストの石井紘人氏はJ-CASTニュースの取材に、
「まず初戦のコロンビア戦で勝ち点1を取れないと厳しいでしょう。岡田武史監督のもと挑んだ2010年の南アフリカW杯は大胆な戦術変更が功を奏し、初戦のカメルーン戦に勝てたことで波に乗れました」
と話した。大会直前に大ナタを振るったという点では、岡田ジャパンと西野ジャパンに共通点がなくもない。
キーマンは長谷部
日本は前回のブラジルW杯で、コロンビア相手に1-4の惨敗。ただし前回は第3戦だったのに対し、今回は初戦で当たる。ここにチャンスはあると石井氏は言う。
「W杯優勝をめざすようなチームは徐々にギアを上げていく傾向にあります。コロンビアも最初の日本戦では前回の対戦ほどの爆発力は発揮してこないと見ています」
最低でも引き分けるためには、いかに失点を減らすか。コロンビア戦のキーマンとして、石井氏は長谷部をあげる。
「今からゾーンディフェンスなど守備の組織を構築するのは難しい。後方で守備のブロックをつくってきっちり守るのが基本となります。仮に30日のガーナ戦をベースに考えるならば、センターバックの長谷部選手がDFラインをいかにコントロールできるかが肝になるでしょう。その上で、長友選手と原口選手がDFラインのサイドのスペースをケアする。コロンビア戦は、点を取るより、点を取られないことが重要です」
GL突破のためには、「コロンビアに引き分け、続くセネガルに勝利。勝ち点4を積めれば16強進出がほぼ固まります。ポーランドに負けても1勝1分1敗で突破できる、と考えるのが現実的なプランでしょう」と話した。
ただ、「不安なのは西野監督の戦術がまだよく分からないことです。W杯での戦い方も読みづらい。守備を固める必要があるので、攻撃に変化をつけられる久保裕也選手や浅野選手らがオプションになり得ましたが、23人に選ばれなかった」と、チームのビジョンが不透明であることを指摘。西野監督が会見で「圧倒できるゲームもあるかもしれない」としていた点に関しては、
「現状、それは難しいのではないでしょうか。コロンビアはハメス・ロドリゲスやファルカオ、セネガルはマネ、ポーランドはレバンドフスキと、対戦国はそれぞれ圧倒的な得点力をもつストライカーを擁しています。一瞬で試合を決定づけてしまうことも可能です。日本の時間帯は訪れると思いますが、耐える時間が長くなるのは必至でしょう」
と石井氏は話していた。