人気アニメ「デジモンアドベンチャー」のシリーズディレクターを務めた角銅(かくどう)博之さん(58)が、脚本監修を依頼されていた同アニメの新プロジェクトから「降板」すると宣言した。
本人が2018年5月28日に投稿したツイートによれば、これまでのシリーズ設定とは「相容れない」プロットが採用されたため、降板を決めたという。
「これ以上関わることはないでしょう」
「デジモンアドベンチャー」は、1999年にフジテレビ系で放送されたアニメ。翌年には続編にあたる「02」が放送されている。監督に相当する「シリーズディレクター」は両作とも角銅さんが務めた。
15年からはシリーズ3作目にあたる「tri.」の制作がスタート。前作の3年後を描いた劇場版アニメで、完結篇の第6章は18年5月5日に公開されたばかり。今回、角銅さんが降板を宣言した「新プロジェクト」も、4日に都内で行われた同作の上映会で発表された。
新たなシリーズ展開の発表に、ファンの間では「楽しみすぎる」「期待してます」などと喜びの声が広がっていた。しかし、新プロジェクトで脚本の監修を務める予定だった角銅さんが28日夜、突如として同作から「降板」すると宣言したのだ。
角銅さんはツイッターで、過去のシリーズ作品の設定を「継承」する目的で脚本監修の要請があり、17年から「作業進めてました」と報告。だが、
「TV版の設定と相容れないと思われるプロットが提出されプロデューサー陣がそれを支持した時点で降板を表明しました」
という。
投稿によれば、角銅さんは制作側にその後の経過を尋ねたが、上記のプロットのまま進行していた。そのため、改めて降板の思いを固めたという。続くツイートでは、「降板の表明についてはプロデューサーに了承してもらってます」とし、
「新プロジェクトについては別の展開がない限りこれ以上関わることはないでしょうし、以後何もツイートしません」
と改めて宣言した。
東映「お答えすることはございません」
ただ角銅さんは、自身が務めたシリーズディレクターという立ち位置について、「原作者というわけでもないし、TV版の設定にしてもまとめて明文化されてるわけでもありません」と説明。その上で、
「これまでの劇場版は放映当時のものでも自分と関わりないところで作られてたので設定にとらわれずお楽しみいただける方も多いと思います」
とファンに向けてフォローの言葉を送った。
シリーズ初期の世界観を生み出した角銅さんの「降板宣言」を受けて、ファンからは落胆の声が続出。ツイッターには、
「角銅さんがここまで言うとなんか悲しくもなるし、新プロジェクトが不安でしかない...」
「『デジモン新プロジェクトってなんなの?』って思わざるを得ない」
「角銅さんはデジモンアドベンチャーのほとんど体系的な設定を作った人で、彼の設定を否認するとか理解できない」
といった声が寄せられている。
こうした反響を受けて、角銅さんは30日にブログを更新。先日のツイートの内容について、
「自分が要請されたのはデジモンアドベンチャー及び02に関しての設定的な監修です」
「今回の自分の降板もそれがイコール新プロジェクトの作品としての価値を損じるものかどうかはまで判定するものではありません」
などと改めて説明していた。
なお、デジモンシリーズを製作する東映アニメーションは31日、角銅さんの降板宣言に関するJ-CASTニュースの取材に対し、
「こちらとしては何も発表していないので、お答えすることはございません」
とコメントした。