「お笑い芸人の本が受賞」が流行? 今度はオードリー若林

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   お笑いコンビ「オードリー」の若林正恭さんの書いたエッセイ「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」(KADOKAWA)が2018年5月28日、第3回斎藤茂太賞に選ばれた。

   ネットでは喜びの声も広がった。一方、一部にはお笑い芸人の本が受賞することが最近多いのでは、と指摘する声もみられる。

  • 第3回斎藤茂太賞に選ばれた若林さん(2016年撮影)
    第3回斎藤茂太賞に選ばれた若林さん(2016年撮影)
  • 第3回斎藤茂太賞に選ばれた若林さん(2016年撮影)

選考理由に「ピュアな視点、ものの考え方も高評価」

   斎藤茂太賞は旅に関わる紀行文やエッセイ、ノンフィクションのうち、優れた著作を表彰するもの。2016年に創設され、作家・下重暁子さんが会長を務める一般社団法人日本旅行作家協会が主催している。

   選考委員の下重さんは総評で、「一人キューバに旅立った3泊5日の弾丸旅行をつづる本書はそのピュアな視点、ものの考え方も高評価」と述べ、受賞に至った経緯を説明している。若林さんの授賞式は7月26日に開かれる。

   今回の受賞にネット上では「さすがです!この本も面白かったし、 他の著書も本当に読み応えあるし、もっと違う作品も見たい」「凄いな」などと喜びの声が広がったほか、

「又吉直樹→芥川龍之介賞 バカリズム→向田邦子賞 矢部太郎→手塚治虫文化賞 短編賞 若林正恭→斎藤茂太賞 そういうムーヴメントが来ているのかしら」
「芸人に文学賞あげて話題にして本の売り上げあげようみたいな感じになってる気がする」

などと指摘する人も見られた。

「お笑い芸人であれば『芸』という本業の実績も積んでほしい」

   確かに、ピースの又吉直樹さんが15年に芥川賞を、18年にはバカリズムさんが向田邦子賞を、カラテカの矢部太郎さんはコミックエッセイで手塚治虫文化賞の短編賞を、髭男爵・山田ルイ53世は編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞を受賞するなど、お笑い芸人の出版関係での受賞の流れが続いている。

   こうした傾向について、芸能文化評論家の肥留間正明氏は、J-CASTニュース編集部の5月31日の取材に、「マルチな才能がある人が出てきている」と評価したうえで、

「1つの宣伝材料として利用している部分もあるとは思います」

とコメント。一方で、

「お笑い芸人であれば『芸』という本業の実績も積んでほしいと思いますね。そうした実績があってはじめて活躍できるものだと思いますので」

と続けた。本で受賞することが必ずしも今後の活躍を保証するわけではないとしながら、

「一発でも当てることは凄いと思います。ただ、一発屋で終わらないようにしてほしいですね。文章がうまい人間はいくらでもいます。だから、今後は自分の経験などを織り交ぜた本を書いていくことが必要になるでしょう」

と語った。こうしたお笑い芸人の文壇デビューがこれからも続いていくのかについて肥留間氏は、

「おそらく続いていくと思いますね。先に述べましたが、受賞が宣伝になる側面もありますから。ただ、本格的に文章を書く人間としても道を拓いていくように努力を続けていってほしいですね」

と注文をつけた。

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