ゼロックスめぐるドタバタ劇 「名経営者」古森氏の打開策は?

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   富士フイルムホールディングス(HD)による米事務機大手ゼロックスの買収計画に、黄信号がともっている。ゼロックスの大株主が「株主を軽視している」と計画に反対し、揺さぶりをかけているためだ。ペーパーレス化が進行し、先進国を中心に事務機市場の縮小が見込まれる中、富士フイルムHDは子会社である富士ゼロックスと、米ゼロックスを一体化して世界市場を攻略する成長戦略を描いていたが、戦略練り直しは必至の情勢だ。

   ゼロックス買収を巡るドタバタ劇がヒートアップしたのは2018年4月下旬、米裁判所が買収手続きの一時停止を命じてからだ。1月末、富士フイルムとゼロックスは買収計画に合意したが、当初からゼロックスの大株主で「物言う株主(アクティビスト)」として著名なカール・アイカーン氏らが猛反発していた。アイカーン氏らは日米ゼロックスが経営統合し、富士フイルムHDの傘下に入るこの計画で、富士フイルムHDグループとしては現金の外部流出が発生しないスキームであることを問題視。「ゼロックスの価値を過小評価している」と計画への批判を強め、米裁判所に手続きの差し止めを求め、提訴していた。

  • 買収計画に暗雲立ち込める?(画像はイメージ)
    買収計画に暗雲立ち込める?(画像はイメージ)
  • 買収計画に暗雲立ち込める?(画像はイメージ)

損害賠償請求などの訴訟も辞さない考え

   裁判所の判断を受け、ゼロックスは5月1日、アイカーン氏らと和解したと表明。ところがその2日後には、その和解が失効したと発表、富士フイルムとゼロックスは再び協調路線に戻ったかにみえた。しかし、そこで終わらなかった。5月13日には再び大株主と和解し、富士フイルムHDによる買収合意を破棄すると発表するに至った。

   こうしたドタバタ劇の背景には、物言う株主の圧力を受けるゼロックスの取締役会の腰が定まらないことがある。ゼロックス取締役会は1月末、アイカーン氏らの反対を押し切る形で買収計画を受け入れたが、内部にも反対論があって、「つけ入るすき」を残していたということだ。

   買収続行か、破棄か、見直しか。攻防が激しくなる中、5月18日に開かれたのが富士フイルムHDの決算会見だ。最高権力者である古森重隆会長は顔を見せなかったが、助野健児社長は出席。記者の関心は買収問題に絞られた。

   助野氏は「経営統合はベストな選択で、ぶれることはない」と強調し、買収計画の実現に意欲を示した。国内外で1万人の人員削減を柱とする富士ゼロックスの大規模なリストラ計画は、そのまま続行すると表明。また買収合意は「法的拘束力を持ち、一方的に契約を終了する権利はない」との見方を示し、富士フイルムHDとして損害賠償請求などの訴訟も辞さない考えを示した。

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