日本大学の「悪質タックル」問題で、アメフトの関東学生連盟は2018年5月29日に臨時理事会を開き、内田正人前監督らの主張を「信用性がない」と一蹴し、選手に対して反則の指示が行われていたと認定した。
同日夜の記者会見には理事長らが出席し、上記のような判断に至った理由について順を追って詳細に説明。インターネット上では、関東学連側の丁寧な説明に「素晴らしい」「見事だった」と好意的な反応が相次いだ。
その半面、一部の記者による質問には厳しい批判の目も向けられた。なかでも、関東学連の理事長に「辞任」を迫ったある記者の発言には、「まったく的を射てない」といった疑問の声が相次いでいる。
関東学連の「責任」を問う記者
関東学連の会見では、内田前監督、井上奨前コーチらへの処分内容や、連盟の調査で判明した問題発生の経緯などを、冒頭40分以上の時間を使って詳しく説明。どのような調査を行い、その結果をどう判断したのかについても、順を追って細かく解説した。
連盟側の説明が終わると、記者による質疑応答が始まった。こうした会見の模様をウォッチしていたネットユーザーから批判が相次いだのは、質問者としてマイクを握った一部の記者による発言だった。
なかでもネット上で波紋を呼んだのは、約1時間にわたる質疑応答の最後に指名されたテレビ局記者の質問だ。会見に出席していた理事長らに向けて、
「皆様の責任についてお伺いしたいと思っています」
と切り出したのだ。
この男性記者はまず、日大選手による悪質タックルが起きた試合の主催者は関東学連だったと指摘。その上で、これまでに連盟が行った問題の真相究明や関係者への処分決定のほかに、
「主催者としての責任の取り方、何か処分について考えていたら、お聞かせください」
と質問した。
「私のクビを取ることが、責任だという風には...」
こうした記者の質問に理事長は、「今回のようなプレーが2度起きないように、とくに指導者に対してフェアプレー遵守の精神について、もう1度指導を徹底したい」と説明。続けて、
「また、フットボールは非常に危険なスポーツとの誤解が広まってしまったことについて、誤解を解くための告知や啓発活動に専念していきたい。それが、我々が取るべき責任ではないかと思っております」
との見解を語った。だが、この回答に記者は納得しなかったのか、会見終了を伝える司会者の発言を遮る形で、
「すみません、例えばなんですけど、理事長の方が辞任するとか、ありえないんでしょうか」
と迫った。
これに理事長は「私のクビを取ることが、責任だという風には思っておりません」と笑いながら回答。また、専務理事の男性は、
「いま理事長がおっしゃったように、きちっとこの問題について解決していくことが、我々理事の責任だと思っております。ただ、関東学連が主催した試合で起きたことが、大きな波紋を広げてしまったことは事実です」
と補足。今後、タックル問題に対する関東学連の対応について、理事会の中で振り返りを行う予定だと付け加えた。
「この会見の全てを台無しにしたわ」
日大アメフト部の監督、コーチによる指導法が問題となった今回の騒動で、真相究明に努めてきた関東学連側の「責任」を尋ねた記者の質問には、違和感を抱いたネットユーザーが多かったようだ。
ツイッターやネット掲示板には、
「最後の質問、なんだあれは? 彼らの責任を問うてどうする?」
「なんで、アメフト学連の理事を辞任とかいう話が出てくるわけ」
「せっかく全容解明してくれてる機関に、おたくの理事長の引責辞任は??だと。この会見の全てを台無しにしたわ」
「何で関東連盟の3人に責任取れなんだよ...それ日大に言いなさいよ」
といった声が相次いでいる。
ただ一方で、「一番いい質問したんでない!?」「学連が自らの責任をどう考えてるのかくらい聞いたってええやん」と最後の質問の意図を評価する向きもあった。