インド南西部のケーララ州で、コウモリなどを媒介して広まるニパウイルスの感染が2018年5月19日ごろから流行している。世界保健機関(WHO)によると、28日までにニパウイルスによる死者が14人出たほか、16人に感染が確認され、12人には感染が疑われているとしている。
これがネット上で報じられると、日本でも警戒感を示す向きもありながら、一部には何故か、アニメのキャラクターを思い出す人もみられた。
致死率高、WHOも警戒
国立感染症研究所によると、この「ニパウイルス」という名前は、ウイルスが分離された患者の村と川の名前にちなんだものだという。ニパウイルスに感染すると、発熱や頭痛、めまい、嘔吐といった急性脳炎の症状が出る。その後に意識障害や意志とは無関係に運動が起きる「ミオクローヌス」が起きたり、場合によっては昏睡状態に至る。
もともとは1997年にマレーシアで流行した急性脳炎の原因として発見され、豚からの感染とされる。致死率について、マレーシアでの流行では40%、2004年のバングラデシュでの流行では60~74%と報告されている。
現在、インドの国立疫病管理センター主導の専門チームが対応にあたり、事態の収拾に努めている。拡散を防ぐため緊急措置が発動され、患者も隔離しているという。WHOは今回のニパウイルスの流行を鑑み、インド政府に情報提供を行うほか、渡航の受け入れなどを自粛するよう呼びかけている。