2018年5月28日午後の衆院予算委員会で、麻生太郎財務相兼副総理が、学校法人「森友学園」との交渉記録について「まだ出てくるのかもしれません」と述べ、議場が騒然となる一幕があった。
一度は「廃棄した」と答弁してきた交渉記録が「発見」された経緯を踏まえた麻生氏なりの予防線だったとみられるが、これには質問した自民党議員からも「大臣が部下を信頼しきってないのかもしれない、というのも問題」と、疑問の声があがった。
昭恵氏「いい土地」記述、交渉記録にはない
すでに財務省が提出した決裁文書では、森友学園前理事長の籠池泰典被告が14年4月28日に行った近畿財務局との打ち合わせについて、
「なお、打合せの際、『本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは「いい土地ですから、前に進めてください。」とのお言葉をいただいた。』との発言あり」
という記載がある。交渉記録は5月23日に財務省が国会に提出。その中に14年4月28日のやり取りが含まれていないことを野党が疑問視していた。
5月28日の集中審議でも、自民党の平井卓也衆院議員が
「そこ(14年4月28日)の交渉記録が欠けているというふうに思うが、本当にないのか。今回提出されたものが、本当にすべてなのか」
と質した。対する麻生氏から最初に出てきたのは、「すべて提出している」ではなく、このような言葉だった。
「これは私どもとしては、今回、色々な形で調べさせていただいておりましたけれども...今、国会に提出させていただいておりますものに関しましては、私どもでは、あの、今、まだ捜索(捜査?)すればまだ出てくるのかもしれません、正直申し上げて」
「大臣が部下を信頼しきってないのかもしれない、というのも問題」
議場がざわつくと、麻生氏は「『かも』しれません」を連発。可能性のひとつを示したに過ぎないことを強調したいようだ。
「今回、これだけやらせていただいておりますので?出てくる『かも』しれません。出てくる『かも』しれません、ということも申し上げております。『出てくる』と申し上げているわけではありませんから」
その上で麻生氏は
「そういった意味では、私どもとしては、我々としては、当局の協力もいただいた上で、私どもが見つけることができたものすべてを提出させていただいたと思っております」
と結論を述べたが、平井氏は
「『出てくるかもしれない』。大臣が部下を信頼しきってないのかもしれない、というのも問題だと思うんです。ですから、今回膿を出し切るという意味では、全部出し切らなきゃいけないし、徹底的に明らかにする必要があると思います」
と、半ばあきれた様子だった。