稼働率30%だったニコン工場
オリンパス深セン工場の小松享代表取締役社長は、『職員への通告』の中で次のようなことを記している。2008年以降、スマートフォンが普及するにつれて、デジタルカメラの市場規模が急激に収縮し、主力工場の深セン工場の稼働率もピーク時の20%にまで降下した。新たな業務として、やはり収入源創出の柱である海外販売業務も技術革新に伴って商品の世代交代の時期に入っており、多くのモデルは2017年に生産が終了した。
オリンパスは、世界規模によるカメラ市場の収縮や、中国社会における経済環境の変化などのマクロ経済の要素からも影響を受け、現在、否応なく業務の再編に迫られている。 オリンパスより先に工場閉鎖を決定したのは、ニコンだった。昨年10月30日、ニコンは無錫にあるデジタルカメラ工場の閉鎖を発表した。さらに同社は、無錫にある子会社のニコン光学儀器(中国)有限公司の経営活動を停止することも発表した。
ニコンが示した閉鎖の理由も同様で、スマートフォンの急速な進歩により、小型デジタルカメラ市場が大きく縮小していることにあった。さらに同社は、スマートフォンの普及による影響を受けて、カード式デジタルカメラの市場が今、急速に収縮していることにも言及した。ニコンの関係者の話によると、2012年から2016年までの5年間で、カード式デジタルカメラの販売量は68%にまで下落し、同期間の無錫工場の稼働率はわずか30%だったという。当然、この程度の稼働率では工場の経営を継続できるわけがない。
ニコン中国の海外向けの公式声明によると、無錫市の子会社であるニコン光学儀器(中国)有限公司の経営活動を停止すると同時に、ニコンのデジタルカメラの生産及びデジタルカメラの部品の製造を担っていた工場も生産を停止するということだ。
(在北京ジャーナリスト 陳言)