丸山ワクチンの働きがほぼ明らかに 日本医大の高橋秀実教授が発表

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   医療界での評価が少ないまま、かなり広く使われている丸山ワクチンの働きがほぼ明ら かになってきた。日本医大の高橋秀実教授 (微生物・免疫学) が、2018年 5月19日、東京で開かれた講演会で発表した。

  • 丸山ワクチンの働きがほぼ明らかにされた
    丸山ワクチンの働きがほぼ明らかにされた
  • 丸山ワクチンの働きがほぼ明らかにされた

隔日投与に先見の明

   高橋教授によると、丸山ワクチンは、がんに対する免疫の鍵を握る、白血球の 1種である「樹状細胞」を活性化することがわかった。白血球のわずか 1万分の 1ほどしかない特殊な細胞で、1973年に発見した米国ロックフェラー大のラルフ・スタインマン博士は2011年度のノーベル医学生理学賞を受けている。

   免疫細胞にはいろいろあるが、「殺し屋」リンパ球・T細胞は侵入した細菌やウイルスのほか、がん細胞も攻撃する。このT細胞にがんの目印を教えるのが樹状細胞の重要な役割だ。

   数年前から樹状細胞に関する新発見が相次いだ。がん細胞は反撃として液性因子を出して樹状細胞を不活化する。また、樹状細胞を活性化したり、不活化細胞を活性化する働きのある脂質が見つかった。

   最も強力な 1つが結核菌のまわりの脂肪酸であるミコール酸。高橋さんらの研究から、丸山ワクチンの原料である青山株はとくにミコール酸の多い結核菌株であることが確認された。また、樹状細胞の活性化を保つには48時間ごとに脂質を与えるのが最も効果的だった。

   「偶然かも知れないが、丸山ワクチンの隔日投与はこの条件にピッタリ合っている」と高橋さん。高橋さんらは近く論文を専門誌に投稿する。

   質問に対し高橋さんは「丸山ワクチンの飲み薬化もありうるが、動物実験の結果などからは注射の方が有効性が高い」「ミコール酸に着目すれば注射量を10分の 1ほどに減らせる可能性がある」などと話した。 (医療ジャーナリスト・田辺功)

姉妹サイト