次は福岡 空港「民営化」の期待と課題

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   全国の空港で民営化が進んでいる。2016年4月に民間委託を開始した関西国際空港(関空)と大阪(伊丹)空港に続き、国が管理する地方空港では同年7月の仙台空港、18年4月の高松空港が既に民営化している。

   国管理の地方空港として民営化の第3弾は19年4月予定の福岡空港で、国土交通省は同空港の運営権を売却する優先交渉権者として、西日本鉄道、三菱商事、九州電力などで構成する企業グループを選定した。

  • 空港「民営化」の期待と課題とは(画像はイメージ)
    空港「民営化」の期待と課題とは(画像はイメージ)
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LCCが就航

   空港が民営化すると何が変わるのか。国が管理する地方空港の場合、これまで滑走路など空港は国交省が管理し、空港ビルは第三セクターなど民間会社が運営してきた。このうち空港の管制などは引き続き国交省が担うが、滑走路の着陸料や運用時間などを決める運営権を民間企業に売却。元々、民間だった空港ビル会社と一体的に運営することで、空港ビルのテナント収入などを空港の着陸料の引き下げに当てることも可能になり、民間会社として経営の自由度が向上する。

   地方空港の民営化の先例となるのは仙台空港だ。仙台空港は東京急行電鉄と前田建設工業、豊田通商などが設立した新会社「仙台国際空港株式会社」が2016年7月に運営を開始し、一定の成果を上げている。民営化以降、着陸料を見直したほか、国内外で営業活動を進めた結果、格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションが仙台空港を拠点空港に選んだほか、台湾のLCCダイガーエアが台北と間に新規就航するなど航空路線が広がった。

   東急電鉄のノウハウを生かし、仙台空港へのアクセスも向上した。仙台市内と仙台空港を結ぶ仙台空港アクセス線が増便となったほか、JR山形駅と結ぶ高速バス、山形県庄内地方と結ぶ高速バス、福島県会津若松市と結ぶ高速バスなどが誕生した。空港が民営化する前は、他県と空港を結ぶ直行バスはなかったという。これら経営努力の結果、仙台空港の2017年度の旅客数は343万人となり、当初目標の341万人を上回り、仙台国際空港の決算も当初予想の赤字から一転、最終黒字となった。

「小さなローカル空港」の場合

   もちろん、地方空港が民営化すれば、すべてうまく行くとは限らない。仙台空港や福岡空港のように旅客数が多く、民営化のメリットを発揮しやすい地域の拠点空港はよいが、2018年4月に民営化した高松空港のような「比較的規模の小さなローカル空港」がどう変わるかは、不透明だ。

   地方空港の民営化は福岡空港に続き、北海道内7空港、熊本空港、広島空港で具体的な検討が進む。北海道の場合、拠点空港の新千歳を中心に函館、釧路、稚内、女満別、帯広、旭川の7空港を一体的に運用する計画だ。しかし、この中には採算性の低い赤字空港が含まれ、新千歳空港の収益で穴埋めする形になる。北海道にはこの7空港以外にも北海道が管理する中標津、紋別、奥尻、利尻、礼文の5空港、さらに札幌市には防衛庁と国交省が共用する丘珠空港もあり、いずれも採算性が問題となっている。民営化にはほど遠いこうしたローカル空港の将来性は見通せない状況だ。

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