アメリカンフットボール部の危険タックルに端を発する問題は、日本大学全体を揺るがす事態に発展した。学生や教職員が立ち上がろうという動きは、半世紀前をフラッシュバックさせる声が数多い。
奇しくもちょうど50年前の1968年5月、改革ののろしはあがったのだった。
現役選手たちが声明を出す意向
ついに学生側が動く。日大アメフト部の父母会は2018年5月24日に緊急理事会を開き、近日中に現役選手たちが声明を出す意向だと発表した。父母らは「監督が反則の指示をしていたと聞いている」といった言葉が漏れ、声明は内田正人前監督や井上奨コーチら指導者陣を糾弾する内容になる可能性が高い。
一方、教職員組合・文理学部支部も24日に声明を出している。当該選手について「勇気ある記者会見」とする一方、内田・井上両氏の会見は「大学側の不誠実さを広く世に知らしめた」と糾弾。被害者・学生・教職員らへの謝罪や、理事会・法人本部の人事刷新などを要求した。マスコミに対しても、「一過性のセンセーションを求め、たとえばキャンパス近辺で学生たちにマイクを突きつけるよりも、ジャーナリズムの本義にもとづき、プロフェッショナルの力量で日本大学の構造的問題を徹底的に追及していただきたい」と要望した。
25日には大塚吉兵衛学長が会見を開いたが、これまでの大学側の言い分をなぞるかたちに終始した。
学生が「無責任」な大学に反旗を翻す構図は半世紀前と重なる。50年前、「日大全共闘」は大学側の20億円使途不明金事件のマスコミ報道に端を発する反乱だった。経済学部生の秋田明大氏を議長とし、「教職員組合」や「父兄会」まで巻き込む大規模な抗争となった。