アメリカンフットボール部の危険タックル問題を巡り、日本大学の大塚吉兵衛(おおつか・きちべえ)学長が2018年5月25日、会見を開いた。
大塚学長は、しきりにこの件における「最高責任者」である旨を口にしたが、事件の事実関係についてはどこまで把握しているのか不明な点が多く、会見を開いた意義に対しての疑問が噴出している。
解釈の仕方に「かい離」 前監督の主張なぞる
学長は、問題が試合中のグラウンドでの出来事であったことから、当初は部と部で解決すべき問題であると認識しており、大学としての対応が遅れたと説明。また、就活生からは不安の声が上がっていることや、それをサポートしていくことを含め、今後は信頼回復に努めると話した。
記者からは、内田正人前監督らの会見は「組織を守るような内容」だったと指摘されると、
「選手と監督・コーチとの話には齟齬がある。これについては第三者委員会、連盟、訴えられているということもありますので、コメントは控えさせていただく」
と具体的な回答は控えたことや、教職員らが24日に出した声明の内容は把握していないことなどから、準備不足な状態での会見という印象を強く残した。
また、内田氏らが一貫して主張している、言葉の「かい離」や「誤解」によって反則プレーに繋がったという見解をなぞり、
「コミュニケーションは難しいところがある。世代間というか、理解が違うのにコミュニケーションが出来ていると思ってしまうことがある、というのが今回も影響しているのではないか」
「コミュニケーションが本当の意味で成立していなかったのでは」
など、と話した。
また、危険タックルの事実関係について、最高責任者である学長がなぜ聞き取りをしないのかと聞かれると、部同士のやりとりの流れができてしまい、途中から関与すると中途半端になる、などと釈明した。
この会見の様子にネットでは
「回答がほぼ曖昧だし何で会見開いたの?」
「日大はしっかりと回答できる態勢が整うまでは、もう記者会見はしない方がいい」
などと、会見の意義に疑問を問う声が多数あがった。
「理事長が出なければ済まない」指摘も
大塚学長は大学においてはナンバー2といわれるが、大学の経営面を担当する理事会ではヒラ理事にすぎない。これに対して、内田前監督は「常務理事」であり、学長よりも上位になる。実質的には、学長はナンバー2ではなく、もっと下位になる。こうした点からも、下位の者が上位にある人物の不祥事を調べられるのか、という根本的な疑問がネット上では多く出ている。
「学長は会社で例えると代表権のない雇われ社長ってことね。つまり田中理事長や内田常務理事の部下ってことですな」
「学長は傀儡に過ぎず、会見しても、何の意味もないだろう」
など、厳しい指摘が相次いでいる。
会見場では、日大のナンバー1である田中英寿理事長の会見予定を尋ねる質問も出たが、学長は「その予定はない」と明言した。
しかし、ネット上でも理事長の会見を望む声は多く、千葉市の熊谷俊人市長もツイッターで
「謝っているのに何故世間は叩くのかと思っているのかもしれませんが、中立な立場で今回の事件を調査・検証し、その結果を踏まえた再発防止策を取ることによって謝罪は受け入れられるので、内田常務理事と同じ主張に立った学長はその資格を失い、あとは理事長が出なければ済まない形になってしまいました」
と指摘した。