「まず自分達のメインがないと『それ用』はできない」
南アフリカW杯では、土壇場での大胆な戦術変更を経て日本代表をベスト16に導いた勝負師。その時1トップとして攻撃の柱になったのは、本田だった。
そんな岡田氏は、メンバーを決めるまでには「めちゃくちゃ苦しみますよ」という。背景には監督としてのこんな考え方がある。
「美学じゃないけど、日本の指導者は『チーム作り』と『采配』とがあると、チーム作りの方にすごく執着する。相手を研究し、メンバーや交代の仕方、こういう場合どうするか、とか考える『采配』で勝つのは邪道だと思ってる人がまあまあ多い。僕はあらゆることをシミュレーションしている。こいつがケガしたら、残り10分でこうなったら...。妄想みたいにずっと試合の展開を考えてる」
「上から上手いやつ23人を選べばいいんじゃなくて、シミュレーションしてずっと妄想しているわけ。そうやって決めて、大体こういうメンバーで、と考えてると妙にストンと落ち着くときがある。大体無理矢理落ち着かせてるんだけど」
ここで八塚氏が「W杯で戦うコロンビア、セネガル、ポーランド、当然スタイルが違う。それ用にメンバーを組むんですね?」と聞くと、岡田氏は
「まず自分達のメインがないと『それ用』はできない。メインがあって微修正していく。ポーランド代表にレバンドフスキがいるならマンツーマンつけて10人対10人で戦うとか、そういうことを考える。でもベースの戦い方がないことにはそれもできない」
と自身の采配術を語っていた。