トヨタ、「連敗」回避に成功 章男社長が強調した「勝因」

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   トヨタ自動車の業績が好調だ。2018年5月9日に発表した18年3月期の連結決算は、当期純利益が前期比36.2%増の2兆4939億円と過去最高を2年ぶりに更新した。豊田章男社長は「たゆまぬ改善という『トヨタらしさ』が表れ始めた」と高く評価。19年3月期もトヨタらしさに磨きをかける方針だ。

   「『連敗だけは絶対にしない』という強い決意のもと、トヨタに関わるすべての人が、全員参加で、地道に、泥臭く、徹底的に原価低減活動を積み重ねた結果だ」。豊田社長は決算発表記者会見でこう自賛した。

  • 章男社長が強調した「勝因」とは (画像はイメージ)
    章男社長が強調した「勝因」とは (画像はイメージ)
  • 章男社長が強調した「勝因」とは (画像はイメージ)

減益予想から増益に

   ここでいう「連敗」は2期連続の減益を意味する。2017年3月期は営業利益が前期比30.1%減の1兆9943億円、純利益は20.8%減の1兆8311億円とふるわなかった。当初は18年3月期の営業利益を19.8%減の1兆6000億円、純利益を18.1%減の1兆5000億円と見込んでいた。つまりは「連敗」だ。

   豊田社長は「このままではダメだ」と発破をかけることで社内に危機感を植え付けた。現場は期待に応え、減益予想から増益に転じた。2018年3月期の営業利益は過去最高だった16年3月期(2兆8539億円)に届かなかったものの、前期比20.3%増の2兆3998億円と大幅に伸びた。

   円相場が1ドル=111円と前期より3円程度円安になるなど、為替変動が2650億円の営業増益要因となった。地域別にみると、販売奨励金が増加した北米は減益だったものの、日本や欧州、アジアは原価改善の効果が大きく、金利スワップ取引などの評価損益を除くといずれも増益を確保した。

欧州や中南米、中国などが好調

   原価改善、すなわち原価低減の取り組みこそトヨタの真骨頂だと、豊田社長は強調した。あらゆる職場で「固定費の抜本的な見直し」を掲げ、一つ一つの費用を精査し、自分たちの行動の「何がムダか」を考え、地道な原価低減に徹底的に取り組んだという。今後も原価低減の力に磨きをかけて「稼ぐ力」を強化し、新技術や新分野への投資を拡大すると表明した。

   売上高は前期比6.5%増の29兆3795億円と2年ぶりに過去最高を更新した。グループの世界販売は1044万台と1.9%増加した。日本、北米などで減少したものの、欧州や中南米、中国などが好調だった。

   2019年3月期のグループの世界販売は、アジア市場などを中心に伸びるとみており、1050万台と見込む。営業利益は2兆3000億円と4.2%減る見通し。想定為替レートを前期より6円円高の1ドル=105円に設定し、輸出採算の悪化を見込む。純利益は米法人減税の影響がなくなるため、15%減の 2兆1200億円にとどまる。売上高は1.3%減の29兆円と「減収減益」を予想する。

   だが期初に保守的な見通しを発表し、徐々に上方修正していくというのがトヨタの黄金パターン。電動化、自動化、コネクティッド化など、「100年に一度の大変革」に立ち向かう投資を続けながらも、好業績を残せるはずだと多くの投資家が期待している。

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