中国政府が外国企業に対して「台湾」の名称を使わせまいと躍起になっている。2018年1月には、「香港・マカオ・台湾」を「国」としてウェブサイトに表記していた外国航空会社に対して要求していたのに加え、5月には、無印良品が中国で展開する店舗で、外装に「MADE IN TAIWAN 原産国:台湾」と表記した製品を販売していたとして罰金20万元(約340万円)の行政処罰を受けていたことが明らかになった。
習近平政権は、「ひとつの中国」の原則を強く打ち出しており、それが「台湾」の名称使用を許さない強硬姿勢につながっているようだ。
もともと中国向け製品では「表記」なかったが...
無印への罰金は、5月23日に「中国工商報」など中国メディアの報道で明らかになった。上海市当局の3月22日付けの発表によると、行政罰を受けたのは、無印良品を展開する良品計画(東京)の100%子会社、「無印良品(上海)商業有限公司」。2017年8月5日、日本から輸入したスチール製の室内物干し119個の外装に、「MADE IN TAIWAN 原産国:台湾」と印刷されたまま、店舗やネット通販で売り出したが問題視された。具体的には、中国の「広告法」の「国家の利益や尊厳を損なったり、機密を漏洩したりしてはならない」という規定に違反したとされる。
良品計画企画室の広報・IR担当によると、3月22日に罰金の通知を受け取り、翌3月23日に納付したとしている。無印は、それ以前の段階でも中国国内で流通する製品で「原産国:台湾」の表記はなかったもの、この119個だけ対応が漏れていたという。
1月にもカタログの表記を問題視される
無印は18年1月にも、中国国内の店舗で配布した「2017年秋冬家具カタログ」の地図で、台湾に関する表記に「誤り」があったり、尖閣諸島が描かれていなかったりしたとして、中国当局から指摘を受けていた。
こういった動きに、台湾側は反発している。台湾当局が運営する通信社・中央通訊社(中央社)
によると、蔡英文総統は5月22日、中国側の対応を「一層反感を買う軽率な行為」だと非難。その上で、
「両岸(台湾と中国大陸)関係の改善に全く寄与しないばかりか、中国の国際的なイメージにも良い影響をもたらさない」
などと訴えた。