日本郵政の「最も厳しい3年間」 乗り切る策は?気迫は?

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   日本郵政の株価が、2018年5月15日の取引時間終了後に発表された18年3月期連結決算と19年3月期の業績予想、さらに3か年の中期経営計画を受けて売られる展開となっている。

   とりわけ19年3月期の業績予想(純利益)については、市場予想に比べて大幅に低い数字が発表されたことが、今後の成長力に対する投資家の疑念を膨張させる結果となったようだ。特に、傘下のゆうちょ銀行の稼ぐ力の低下が心配されている。

  • 日本郵政の「最も厳しい3年間」(画像はイメージ)
    日本郵政の「最も厳しい3年間」(画像はイメージ)
  • 日本郵政の「最も厳しい3年間」(画像はイメージ)

宅配便「ゆうパック」などの取扱量は増加

   18年3月期連結決算は、純損益は4606億円の黒字で、17年3月期(289億円の赤字)から大幅な黒字転換を果たした。黒字額は18年3月に公表した見通し(4500億円)からさらに上振れした。

   17年3月期は故・西室泰三元社長(元東芝社長)が買収を決断したオーストラリアの物流子会社「トール・ホールディングス」の業績が悪化し、その減損処理をしたために赤字となっていた。18年3月期は宅配便「ゆうパック」などの取扱量の増加によって日本郵政の収益が拡大したことも黒字転換を支える要因となった。

   18年3月期の売上高(経常収益)は前期比3.0%減の12兆9203億円、経常利益は15.2%増の9161億円だった。かんぽ生命の保険手数料などの収入減が響いて売上高が減ったが、経常益が2ケタ増の9000億円超、純利益が4000億円超というのは悪い数字ではない。

発表翌日、「窓をあけて」下落

   一方、株式市場が注視した2019年3月期の業績予想はどうか。売上高は前期比4.4%減の12兆3500億円、経常利益は28.0%減の6600億円、純利益は28.4%減の3300億円だ。売上高はともかく、経常利益、純利益ともに3割近い減少を見込むもので、株式市場は「ネガティブサプライズ」(SMBC日興証券)と受け止めた。日本経済新聞によると、19年3月期の純利益見通しの市場予想との下方乖離率は26%に達し、他の追随を許さないものだった。大幅減益予想の大きな要因は、傘下のゆうちょ銀行の純利益を18年3月期の3527億円から19年3月期計画で2600億円と低水準に設定したことだ。日銀のマイナス金利政策などによる運用環境の悪化が、稼ぎ頭のゆうちょ銀行の経営に響くと日本郵政経営陣が見ていることによる。

   さらに株式市場が驚いたのが、日本郵政の2021年3月期までの3か年の中期経営計画である。低金利によるゆうちょ銀行の純利益低迷(21年3月期計画で2800億円)を主因に、21年3月期の純利益が4100億円プラスアルファと伸び悩む姿を描き、宅配便の需要取り込みや資産運用の多様化で全体の落ち込みを防ぐと説明。15日に記者会見した長門正貢社長は「2018~20年度がこれまでで最も厳しい3年間になる」との見通しを示した。これについて野村証券はレポートで「中期計画をみて当社株を購入する気にはなりにくい」「利益を伸ばす意思の強さを感じられない」「中期計画が株価の再評価につながる可能性があるとみていたが、その時期は遠のいた」などと断じた。

   5月15日までは上昇基調だった日本郵政の株価は16日、「窓をあけて」下落(当日高値=1289円=が前日安値=1322円=を下回る形で下落)した。当日安値は1274円と1か月半ぶりの水準となった。その後も株価は低迷を脱せず一進一退を繰り返している。宅配便の需要を取り込むというが、採算に合わないとヤマト運輸が取引を停止した荷物を引き継いでも利益は生みにくい。経営陣の次の一手を株式市場は注視している。

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