アメフトの「悪質タックル」問題で、日本大学アメフト部の内田正人前監督と井上奨コーチが2018年5月23日に開いた緊急会見は、反則を犯した当該選手の主張の多くを真っ向から否定する「反論の場」だった。
井上コーチは、「QBを潰せ」と発言したことは事実だと認めたが、相手にけがをさせる意図の発言ではなかったと主張。会見の序盤では、当該選手との会話では「けが」という言葉をすら使っていなかった、などと言ったりしたが、後半では「正直、覚えていなかった」と言い直したりした。
問題プレーは「想定していなかった」
会見には、内田氏と井上奨ディフェンスライン(DL)コーチの2人が出席。弁護士も同席した。
内田氏と井上コーチは会見冒頭で、負傷した関西学院大学のQBやチーム関係者、反則を犯し会見を開いた日大選手に対して、「誠に申し訳ありませんでした」と順に謝罪の言葉を述べた。
だが、その後の質疑応答で2人の口から飛び出したのは、反論や釈明の言葉ばかりだった。
井上コーチは「(自身が)QBを潰してこい」と告げたのは事実だと認め、「けがをさせること目的とした指示はしておりません。思い切り、それくらいの気持ちで行ってこいと、そういう意味で言いました」と説明。その上で、発言の真意について次のように話した。
「僕は『QBを潰しに行け』という言葉には、その中に色んな意味が込められていると思っています。潰しに行くようなタックルをするためには、思いっきりスタートすることとか、自分の闘志を出してやることとか...。それで、『潰しに行け』ということを言いました」
また、井上コーチは、問題のプレーについては「見ていました」。続けて、
「ああいう形ということは想定していなかったので、僕の思いとはちょっと違うなと感じました。そこで、彼を交代させるなり、ベンチに呼び戻すなりすればよかったと、(試合が)終わってから思いました」
とも訴えた。
「闘争心とか中身の部分を変えたいと思っていた」
また井上コーチは、当該選手を練習に参加させなかったり、厳しい言葉をかけたりした理由について、
「彼はすごく優しい子で、もう1つ上のレベルというか、技術的にも成長が止まっているなと思っていました。闘争心とか中身の部分を変えたいと思っていました。そこを育てるために、そういう発言をしました」
などと説明した。その上で、「過激な表現になって、彼を苦しめたというか、プレッシャーをかけたということは申し訳なく思っています」とした。
また、当該選手が22日の会見で、井上コーチが「相手のQBが怪我をして秋の試合に出られなくなったらこっちの得だろう」などと発言したと説明したことについては、「(けがという言葉は)使っておりません」と否定し、次のように述べた。
「相手のQBは友達か、という事は言いました。ただ、相手のQBが潰れて得か損かというそういう話はしておりません。また、『定期戦が無くなってもいいだろう』とも言っていません」
当初はこう話していた井上コーチだが、会見の後半では、けがという言葉を使ったかどうかについて、「正直、覚えておりません」とも発言していた。
こうした井上コーチの発言をめぐって、会見を見ていたネットユーザーからは、「あまりに意味不明」「何が言いたいのかわからない」といった感想もツイッターに出ていた。