北朝鮮の巨大マスゲームが5年ぶりに復活することになりそうだ。北朝鮮は2002年から断続的にマスゲームを披露するイベント「アリラン祭」を行っていたが、13年を最後に開催が途絶えていた。
18年3月ごろから復活の情報が流れていたが、このほど、練習風景とみられる写真が北朝鮮専門サイトのインスタグラムで紹介された。南北、米朝会談にともなう融和ムードを機に、観光客を呼び込んで外貨獲得を狙う考えのようだ。
15万人収容のスタジアムで10万人が披露
「アリラン祭」は15万人収容の「綾羅島(ルンダド)メーデー・スタジアム」で10万人が参加してマスゲームを披露するイベント。02年に初めて開かれ、06年以外は8~10月にかけて毎年開かれていたが、13年を最後に開催が途絶えていた。北朝鮮側は開催しなくなった理由を説明しなかったため、憶測が広がっていた。
北朝鮮旅行が専門の旅行社「コリョ・ツアーズ」(中国・北京)が18年3月16日、18年秋にマスゲームが復活するという情報を「北朝鮮内部の複数の情報源」から得たとする告知をウェブサイトやツイッターに掲載。同社では、北朝鮮の建国記念日は1948年9月9日で、70回目の記念日に合わせた開催だとみている。
そんな中で、シンガポール人の写真家による北朝鮮の映像撮影プロジェクト「DPRK360」では、平壌で撮影した写真を現地からインスタグラムに投稿中だ。18年5月21日には、30年以上未完成のままとなっている超高層ホテル「柳京ホテル」がライトアップされた写真を投稿。22日には、平壌の大同江(テドンガン)沿いの広場で多くの市民が体操しているような写真つきで、
「北朝鮮の人々が、18年9月のアリラン・マスゲームに向けた練習をしている。これで、13年が最後のパフォーマンスだったアリラン祭が復活することが確認された」
と書き込んだ。
3泊4日で799ユーロ(10万4000円)
なお、「コリョ・ツアーズ」が4月17日に更新したブログでは、マスゲームのイベントの名前は「輝く祖国」になる、としている。「輝く祖国」は、北朝鮮の「第2国家」とも位置付けられる楽曲のタイトルと同じで、朝鮮中央テレビの終了時に流されている。
北朝鮮としては、大規模マスゲームを復活させることで、外貨獲得を狙っているとみられる。実際、早くも「コリョ・ツアーズ」サイトでは、マスゲーム観覧ツアーが売り出されている。9月9日に予想される軍事パレードやマスゲーム見学を当て込んだ22日21泊のツアーは、1人当たりの値段は3999ユーロ(約51万8000円)で、3泊4日の場合は799ユーロ(10万4000円)。
なお、日本政府は北朝鮮に対する独自制裁の一環として人的往来を規制しており、日本人の北朝鮮渡航自粛を求めている。