若い世代の社員の転職志向が強まっている。若手・中堅層で「2年以内に離職」を考える人の割合が、前年より7ポイント増の37%に及んだ調査結果や、新入社員で「そのうち転職したい」と答える割合が過去最多となる結果も公表されている。
こうした結果が報じられると、ツイッターでは若者の転職を応援したり、逆に慎重な行動を促したりと様々な反応が見られた。
「比較的短期での転職を厭わない価値観」
デロイトトーマツ・グループは2018年5月21日、「ミレニアル世代の意識に関する調査結果」(日本語版)を発表した。一般的に「ミレニアル世代」の年代幅に厳密な定義はないが、同社では1983年から94年に生まれた世代と位置付けている。概ね23~35歳の人たちだ。米英や韓国、ブラジルなど世界36か国の計約1万人(日本429人<補正後337人>)、主に民間大企業でフルタイム勤務の男女から回答を得た。調査実施は17年11月から18年1月。
「現在の会社で勤務を続けると見込む期間」に関する日本国内の回答は、「2年以内」が37%となり、「5年以上」(30%)を初めて上回った(初回調査は2016年)。「2年以内」は、16年28%、17年30%と推移していたが、今回18年は一気に7ポイント増えた。一方、「5年以上」は16年33%、17年32%で、18年も2ポイント・マイナスとなり微減傾向が続いている。世界全体(18年)では「2年以内」(43%)、「5年以上」(28%)だった。
18年の国内調査をさらに詳しくみると、「6か月以内」が11%いる一方、「離職見込みなし」は14%だった。また、「2年~5年」は21%だった。
こうした傾向について、デロイトトーマツでは
「日本のミレニアル世代は世界の同世代と同様に、比較的短期での転職を厭わない価値観を有していることが示されました」
「同世代の人材の定着化は、世界・日本企業共通の課題となってきています」
と分析している。
新入社員調査で「そのうち転職したい」が過去最多
調査結果の英語版は日本語版に先立ち発表されており、日本経済新聞(ネット版)は5月18日に結果概要を報じた。記事を読んだ人たちは、ツイッターで様々な反応を示した。2年以内の転職を考えている人が4割近くに及んだことに、
「そんなんなん?」
と驚く人がいる一方、自身の周囲も「夢を持って」転職している人が多い、などと転職に肯定的な見方を示したり、
「実際転職したら結構ジリ貧になるのよ」
と、慎重な行動を促したりする意見が出ていた。
他にはこんな調査結果もある。やはり、転職志向の強まりを示している。同じくデロイトトーマツ・グループが、2018年度の国内の新入社員約4800人に対して、仕事に対する意識などを聞いた調査(4月26日発表)で、「今の会社で働き続けたい」と回答した割合は、17年度比2.4ポイント減の53.8%となり、3年連続で減少した。15年度は63.4%だったので、3年で約10ポイント下がったことになる。一方、「そのうち転職したい」は17年度から1.5ポイント増え、16.7%と過去最多となった。
同社では、「就社意識がわずか数年で大きく低下している点が注目される」と指摘。長く勤め続けてもらうためには、「ひとつひとつの仕事の醍醐味を伝える、メンター制度を設けて先輩社員が定期的にフォローを行い経験談を語るなど、自社で働くことの魅力を伝える必要がある」と提言している。