安倍晋三首相が2015年2月に加計学園の加計孝太郎理事長と面会し獣医学部新設計画を知らされていたとの記述が愛媛県の文書にあった問題で、安倍氏は18年5月22日朝、「ご指摘の日に、加計孝太郎理事長と会ったことはない」と事実関係を否定した。
その根拠のひとつが、官邸への入館記録が廃棄されており「確認できなかった」ことだ。ただ、過去には安倍氏自身が、「そういう記録は全部残っている」と発言している。
「訪問予定者の入邸確認後」に「遅滞なく廃棄する取扱い」
政府は、愛媛県や加計学園関係者が柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)と面談した件でも、「記録はない」とする答弁を繰り返してきた。
政府によると、首相官邸に入るためには、事前に「訪問予約届」を提出し、入邸時に身分証明書と照合する。その後の「訪問予約届」の扱いは、「遅滞なく廃棄」すると説明している。
廃棄理由は、使用目的が終わったこと、全て保存すれば個人情報を含んだ膨大な量を抱えるためだ。
今回の愛媛県が出した文書についても、安倍氏は
「ご指摘の日に、加計孝太郎理事長と会ったことはない。念のために昨日官邸の記録を調べたところだが、確認できなかった」
と主張。直後の菅義偉官房長官の会見では、
「入邸記録は用務終了後速やかに廃棄される取り扱いになっており、残っているか調査を行ったが、確認できなかった。残ってなかった、ということ」
と補足された。
ただ、数年前の記録が残っていないことには、疑念の声も多い。過去に安倍氏自身が、10年以上の前の出来事について「そういう記録は全部残ってるんですね、官邸には」と述べていたことがあるからだ。
それは、安倍氏が14年3月21日にバラエティー番組「笑っていいとも」に出演した際のやり取りだ。安倍氏は03年1月15日に小泉純一郎首相(当時)が電話出演したことについて
「あの時、私副長官やってまして」
「あの時、小泉、当時の総理が『官邸来ませんか』って言ったんですよね」
と発言。司会のタモリさんが
「そうそう、来てくれるかな!って言ったから『いいとも!』って言ったの、覚えてます」
と応じて官邸訪問の約束が果たされていないことを明かすと、安倍氏が
「そういう記録は全部残ってるんですね、官邸には」
と突っ込んでスタジオからは笑いが起こった。