学校法人加計学園の獣医学部新設計画を2017年1月20日に「初めて知った」と繰り返してきた安倍晋三首相に、強い逆風が吹き始めた。
愛媛県が18年5月21日に参院予算委員会に提出した文書で、安倍氏と学園の加計孝太郎理事長が15年2月に面会し、その際「首相からは『そういう新しい獣医大学の考えはいいね。』とのコメントあり」という記述があったからだ。この文書の内容が正しければ、安倍氏は国会答弁よりも2年も早く計画を知っていたことになり、野党は「これは決定的だ!」「もう詰んだ」などと攻勢を強めている。
当日の首相動静には「加計学園」の記載なし
愛媛県が提出した文書は「報告 獣医師養成系大学の設置に係る学園関係者との打合せ会等について」との題名で、「27.3.」とある。平成27年=2015年3月の資料だとみられ、3月3日に加計学園関係者と県の間で打ち合わせ会を行った内容が記されている。加計学園から県に対して、2月25日に学園理事長と安倍氏が15分間程度面談し、その内容を県に報告している。それによると、学園理事長は「獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明」。直後に
「首相からは『そういう新しい獣医大学の考えはいいね。』とのコメントあり」
と続いた。
野党議員は次々に愛媛県の文書をSNSに公開。安倍政権打倒に向けた決め手になるとの見方が相次いだ。
「これは決定的だ!首相の進退に関わる!」(共産党・宮本岳志衆院議員)
「もう詰んだ」(国民民主党・玉木雄一郎共同代表)
「安倍政権終了です」(共産党・辰巳孝太郎参院議員)
ただ、報道各社が報じた15年2月25日の首相動静には加計学園関連の記載はない。「密会」の有無も焦点になりそうだ。