講談社「買わないで」まんだらけ「非は出版社」 「愛と誠」原画落札、議論は平行線

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   漫画『愛と誠』(梶原一騎原作、ながやす巧作画)の原画が「まんだらけオークション」で落札された問題が、各所に波紋を広げている。

   まんだらけ(東京都中野区)は「明らかに非は出版社様にあります」と講談社側の不手際を指摘。ながやすさんの妻は「巧も私も毎日落ち込んでいます」と公式コメントを発表した。

   原画を落札した人物は良いとして、各所に後味の悪さを残したまま幕切れしそうなこの事件。いったい何が起きていたのか、その顛末を振り返る。

  • まんだらけオークションで落札された原画(画像はスクリーンショット)
    まんだらけオークションで落札された原画(画像はスクリーンショット)
  • まんだらけオークションで落札された原画(画像はスクリーンショット)

「出品した以上は取り下げはできない」

   『愛と誠』は、1973~76年に「週刊少年マガジン」で連載された人気作品で、何度も映像化を経験した。ところが週刊少年マガジン編集部が2018年5月10日に発表した公式声明によると、連載当時に外部に原画を貸し出した際、その一部が行方不明となっていた。

   そのうち1973年11月号に掲載された扉絵が2018年4月20日、「まんだらけオークション」に出品。5月6日に400万円で落札された。21日のJ-CASTニュースの取材に応じた講談社の広報部によると、編集部は、まんだらけ側にオークションの中止を求めたが、「出品した以上は取り下げはできない」と対応されたという。

   編集部は5月10日、公式声明で「当時の原画管理に関する意識の甘さを猛省しています」と遺憾の意を表明。「現在は、ながやす巧先生ご自身がすべて(原画を)管理しております」とした。

   ながやす氏が外部の人間に原画を譲渡したり売却したりしたことはこれまでに1度もないと強調した上で、

「さまざまなオークションや漫画専門店などの店頭で『愛と誠』の原画を目にされることがあったならば、それは紛失もしくは盗まれたものです」

と説明。他の原画を発見したら一報を入れるよう、読者に要望した。

まんだらけ「弊社を責めるような文章は、幼い責任転嫁」

   一方、まんだらけは5月12日深夜、公式サイトで「事実関係をまず記載しておきます」などと声明を発表した。

   声明では、オークション前になかやす氏の代理人と講談社側から打診を受け、4月29日に「『愛と誠』の原稿を完全に管理をされているならば、紛失原稿がその15枚だけなのかを確認して連絡をいただけますか?」と代理人に返答したが、回答はきていないとした。

   「弊社といたしましては遵法の精神にのっとりまして営業を重ねておりますので今回の件が問題になること自体に違和感があります」とも主張。「出版社様サイドから流出したものであればそれは出版社様の問題であ」ると、訴えた。

   さらに週刊少年マガジン編集部の声明も紹介した上で、「仰っていることが事実なら明らかに非は出版社様にあります」とコメント。その上で

「本当に反省されておられるのなら、そしてその原稿が今回の出品物であったならその責務を果たすためにオークションで落札して作者様にお返しすべきではなかったのでしょうか。時間的な余裕は充分あったはずですし、お申し出があれば弊社は協力していました」

と訴えた。

   「それを何の非もない弊社や購入者を責めるような文章は、幼い責任転嫁以外の何物でもない」と強く主張した上で、原画の描かれた1970年代は「作家対出版社という構図の中では、作家の命である原稿は一部ないがしろに扱われていたのも事実です」と持論を展開。「同じ組織にある方たちですから『昔の人のやったことは関係ない』とは言えないのではないでしょうか」と訴えた。

   こうして注目を集めたまんだらけの声明について、同社広報部は21日のJ-CASTニュースの取材に

「こちらの発表文がすべて。これ以上、個別にお答えすることはできない」

と回答するのみ。講談社の広報部も「(声明に)コメントはありません」としている。

作者妻「毎日落ち込んでいる」

   一方、ながやすさん側は19日、漫画『壬生義士伝』のサイトで初めて一連の騒動に関するコメントを発表。「ながやす巧は心労で体調が悪化したため」として、ながやすさんの妻が代わりに思いの丈をつづった。

「44年前に大阪で紛失もしくは盗まれた原稿が、 まんだらけオークションに出品されているとわかった瞬間、心臓が止まりそうになりました」

   『愛と誠』連載当時のながやすさんは1日2時間の睡眠で締め切りに間に合わせていたなどとして、「巧と私の大切な子供です。 一作一作心を込めて描きあげました。 そんな大切な原稿を、自ら手離したことなど一度もありません」と説明。原画が400万円で落札されたことには、

「私達の子供なのに手の届かないところへ行ってしまいました。 悲しくて胸がつぶれそうです。 オークションが終わったあと、巧も私も毎日落ち込んでいます。何とかならないかと、精一杯手を尽くして下さった関係者の皆さんには、心から感謝しています」

とコメントした。

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