大手証券会社との関連を誤解させるような形で、公開後に「160倍まで値上がりする見込み」などと告知していたICO(新規仮想通貨公開)が中止となった。主催者側が2018年5月19日、情報発信に用いていたLINEアカウントで発表した。
このICOをめぐっては、ゴールドマン・サックス(GS)の日本法人が関係を否定する注意喚起文を発表。告知動画や特設サイトに「推薦人」として登場していた女性が、同社の元アナリストという虚偽の経歴を利用していたためだ。
「瀬尾恵子という人物が在籍していた事実はない」
問題となったICOは、「瀬尾(せのお)恵子」を名乗る女性が推薦人としてウェブ上での告知を繰り返していたもの。告知サイトなどでは「規格外ICO」「160倍確定コイン」などの名称を使い、5月24日にスタート予定だと説明していた。
告知サイトには、「あのゴールドマン・サックスで投資を極めた瀬尾恵子が、160倍になると見込んだICO」との紹介文があった。さらに瀬尾氏は、GS社のほかに三菱UFJ信託銀行、SMBC日興証券にも在籍していたとも騙っていた。
こうした告知について、GS社側は5月10日朝までに注意喚起文を公式サイトに掲載。瀬尾氏が同社に在籍した事実はないと名指しで否定したうえで、
「言及されるICOを含むこの人物の活動は、ゴールドマン・サックス・グループとは全く関係ございません」
と注意を促していた。
その後、SMBC日興証券も15日、瀬尾氏の在籍およびICOとの関係を否定する注意文を発表。三菱UFJ信託銀行の広報担当者も、J-CASTニュースの取材に対し、「瀬尾恵子という人物が在籍していた事実はない」と話した。
このように、推薦人の瀬尾氏に「経歴詐称疑惑」が浮上したことで、このICOはインターネット上で大きな注目を集めることに。ツイッターやネット掲示板には、今回の告知方法を問題視するユーザーが相次ぐ騒ぎとなっていた。