「世論の法廷」を無視したツケ
一方、企業のリスクマネジメントに詳しいフライシュマン・ヒラード・ジャパンの田中愼一社長は、18日のJ-CASTニュースの取材に「基本的に対応が遅いです。本来なら関学が記者会見をする前に、日大が会見をするべきでしょう」と指摘。企業をはじめ組織のクライシスに対処する上では、2つの「法廷」が存在すると説明した。
まず、1つは裁判所の「法廷」だ。今回のタックル騒動では加害者と被害者が明確に存在するとして、「日大は損害賠償も頭に入れながら、抗議文への回答書を用意しなければならなかった」と述べた。
そして、もう1つが世論の「法廷」――今回の騒動では、これがカギを握っているという。なぜなら、日大の選手が関学の選手に危険なタックルをする場面が映像でハッキリと残っているからだ。
「誰もが映像を見て、あのタックルはおかしいと認識している。日大はそんな『世論』のことも頭に入れた上で、対応を考えなければいけません。ですが、あの回答書を読む限り、とてもそうは見えません」
田中氏はさらに「日大側には、世論でこれだけ騒がれるという認識がありませんでした」と話した。その上で「これはパワハラやセクハラと同じです。いくら監督が反則行為を指示しなかったと言っても、受け手がそう受け取ってしまえば、意味を成しません」と続け、
「世論の法廷に引きずり出されてしまった限り、責任者が記者会見なりで正々堂々と説明するなどし、世論に発信しなければ、ますます被害が広がっていくだけです」
と推測した。
「被害を受けるのは、タックルを受けた関学の選手だけではありません。両大学の学生、家族、OB、OG...。就職活動中の学生はもっと被害を受けるはず。日大の経営にも影響するかもしれない問題です」
何が事実なのか、何が分かっているのか。そしてこの先、何をどのように明らかにしていくのか。日大は、そんな問いの1つ1つに答える必要があるようだ。