アメリカンフットボールの日本大学と関西学院大学の定期戦で、日大選手による悪質な反則行為があった問題は、ますます混迷の度合いを深めている。
ある日大アメフト部OBは「監督、コーチから『相手のクォーターバック(QB)を壊せ』との指示があった」と関係者から聞いたと発言。他にも、監督らの指示が「あったと思う」との証言は出ているが、日大側は「事実ではない」とこれを否定している。
「『相手のQBを壊せ』そういう指示があったと」
「私が関係者から聞いた話では、事前に監督、コーチから、当該の選手が『相手のQBを壊せ』と、そういう指示があったと」
2018年5月16日放送の情報番組「報道ステーション」(テレビ朝日系)で、日大アメフト部OBで共同通信記者の宍戸博昭氏はそう語った。関学のQBに悪質なタックルをした日大の選手が、監督から事前に「壊せ」すなわち「ケガをさせろ」との指示を受けていたという。
番組では、別の日大アメフト部関係者にも取材。同選手はその関係者に「監督から試合前に『ワンシリーズ(編注:攻守が入れ替わるまでの攻撃権)で相手のQBを壊して来い』と指示されていたから、やってしまった」などと打ち明け、「そうしないと試合に出られないと思った」と話していたという。
なぜその選手は、試合に出られないと思ったのか。真相は定かでないが、宍戸氏は関係者から聞いた話として「最近ある意味『干されていた』状況の選手にそういう指示を出して奮起を促した」と説明。「当該の選手だけじゃなくて(他の人も)聞いていたという話もあります」とも語った。
さらに、部のOBとしては「名門チームの監督としての矜持、それを示していただきたい。公の場で記者会見をして、真実を語っていただきたい」と訴えていた。
OBも「初めて見た」悪質行為
監督から選手に指示があった――。宍戸氏の他、複数の日大アメフト部OBからもそんな証言が上がっている。
17日放送の「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)では、日大の内田正人監督から指導を受けたことのあるアメフト部OBの2人が番組の取材に答えた。仮にA氏、B氏とすると、件のタックルについて
「(あれほどの悪質なタックルは)経験もないし初めて見た」(A氏)
「衝撃的というか驚きだった。初めて見た」(B氏)
と意見を述べたという。
A氏はアメフト部の練習について「非常に厳しいが、厳しさの裏には選手思いの一面もあった」、B氏は「スパルタの枠を超えた過度な練習だった」と告白。その上で「(タックルは)監督の指示だったのか?」と質問を受けると、A氏は「(監督がディフェンスに)相手のQBを狙え! 反則してもイイから思い切りやってこいと」話していたそうだ、とコメント。B氏は
「『殺すぐらいやってこい』という指示は昔からあったので、指示があったと思う」
と話したという。
このように監督から指示を受けていたとの証言は出ているが、日大の広報担当者は16日夕のJ-CASTニュースの取材に「監督やコーチが、ああいったプレーをしろと指示した事実はない。そんな指示を出しても、仕方がないでしょう」と否定している。
ツイッターなどインターネット上でも「監督指示」の有無は大きな注目を集めており、
「『監督の指示』があったかなかったは絶対にうやむやにしちゃいけません」
「選手は勇気を持って真実を話して」
「これだけ騒ぎになってる以上、日大側はさっさと会見して後処理すべき」
などの声が寄せられている。