密教や仏教関連の貴重な資料を多数収蔵する高野山大学(和歌山県高野町)の図書館から流出した蔵書の一部が、オークションサイトに出品されていたことが分かった。
同大図書館が2018年5月11日、公式サイト上で発表した。オークションに出品されていたのは、40年以上前から所在が不明になっていた数冊の書籍。図書館側は買い戻しを図ったが、出品者と値段の折り合いがつかず「断念」したという。
25万円以上の価格で落札か
J-CASTニュースの16日の取材に応じた大学関係者の話によれば、オークションへの出品を見つけた第三者からの問い合わせがあり、図書館側は事態を把握。すぐに警察へ相談したが、紛失時期の問題からすでに時効が成立していると説明されたという。
公式サイト上の発表では、図書館側はこの出品者と連絡を取り、資料を買い戻すために何度も交渉を重ねたが、
「買い取りの値段の折り合いがつかず、断念せざるを得ない結果となりました」
と報告。続けて、同校の在学生やOB・OGら関係者に向けて「大変ご心配をおかけいたしましたこと、心よりお詫び申し上げます」とも謝罪している。
発表の中では、オークションの出品者について「善意の第三者」だと強調。大学関係者によれば、図書館からの流出後、各所を転々としていった書籍を偶然手にした人物が、今回の出品者にあたるという。
なお、オークションサイト「ヤフオク!」を調べると、同大図書館の蔵書印が押された書籍の出品が4月中旬にあった。
密教関連の肉筆本のようで、商品の説明欄には「正徳二年(編注・1712年) 江戸時代」とある。当初の出品価格は7000円だったが、最終的には25万円以上の値で落札されていた。