サントリーの国産ウイスキー「響17年」と「白州12年」が販売休止となり、ネット上の転売価格が高騰し始めている。
わずか1日で2~3倍ほどに値上がっているが、無免許で販売を続ければ酒税法違反に問われる可能性も指摘されている。
響17年は5~10万円と、わずか1日で2~3倍に
「販売終了希少品」「休売 コレクション放出」。こんなタイトルでウイスキーの写真がズラリと並ぶ。響17年は5~10万円ぐらい、白州12年は3~5万ぐらい。販売休止が2018年5月15日に報じられ、ヤフーオークションの落札価格やメルカリの販売価格は、翌16日昼過ぎ現在で、こんな値を付けていた。
メーカーの希望小売価格(税抜)は、響17年が1万2000円、白州12年が8500円。販売休止が明らかになる前は、実勢価格がそれぞれ3万円、2万円ぐらいだったため、影響が出ている形だ。
サントリーの広報部によると、突然の休止は、近年のウイスキー人気で需要がメーカーの想定以上に増えたため、熟成した原酒が不足してきたことがある。今後は、在庫のみの販売になり、響17年は9月ごろ、白州12年は6月ごろに販売休止となる見通しだとしている。
サントリーでは、設備投資を進めてはいるが、再開のメドはまだ立っていないという。
ニュースのコメント欄などでは、「品質保つためには仕方ない」などと販売休止に理解を示す声もあるが、ネット価格の高騰については懸念を示す向きも多い。「下手な転売やってると酒税法違反になる」「知らんでやってる困った人も多そうだ」といった指摘が出ていた。
「明確な基準はなく、業務かは個々の状況で判断」
実際、過去には、個人でネットオークションなどにお酒を出品し、酒税法違反に問われたケースが報じられている。
2011年には九州地方で、免許のない会社員や無職男性ら計46人が、プレミア焼酎を高額で転売し続け、5年間で計約18億円を違法に売り上げたとして、国税局から重加算税を含めた約5400万円の追徴課税を受けた。46人は、店で買い集めたり、ネット上で割安な品を購入したりして、ネットオークションなどで転売していた。
このほか、趣味で集めた焼酎を大量に売ったり、住宅ローン返済のためにネットで買った焼酎を売り続けたりして、酒税法違反に問われたケースもあった。無免許で摘発されると、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられる。
国税庁のホームページでは、家庭で不要になった酒類をネットオークションに出品するような場合、免許は必要ないとされている。それでは、一体どこから無免許での販売として違法になるのだろうか。
国税庁の酒税課は5月16日、J-CASTニュースの取材にこう説明した。
「本数で何本、金額でいくらといった基準はなく、販売業についての厳密な定義はありません。個々の状況で判断していくということです。例えば、1回だけの転売でも100本などとあまりにも多かったり、毎月のように転売したりしていれば、『不用になって』というのはなかなかないでしょう。販売する行為は同じであっても、目的が違うということです」