アメフトの日本大学と関西学院大学の試合で、日大の選手が危険なタックルで相手を負傷させた問題。焦点となっているのは、反則の背景に「監督やコーチの指示」があったのかどうかだ。
アメフト専門誌「HUDDLE MAGAZINE」は2018年5月15日の電子版記事で、複数の関係者の証言を紹介。記事によれば、日大の内田正人監督は「1プレー目で相手のQBを壊してこい」と具体的な指示を送っていたという。
一方、日大の広報担当者は16日のJ-CASTニュースの取材に、この報道について「事実ではないので、大変困惑している」と話した。
コーチも「何をしてもいいから壊してこい」
問題のプレーが起きたのは、5月6日に東京・調布で行われた日大と関学の定期戦。日大のディフェンス選手が出場1プレー目で、パスを投げ終えて無防備となった相手のクォーターバック(QB)に背後から走り込み、強烈な反則タックルを加えた。
このプレーで関学のQBは負傷。関学の発表などによれば、QBは医師から全治3週間との診断を受けたが、試合後に足のしびれを訴えた。ただ、その後の精密検査では神経系に異常は見られなかったという。
この問題をめぐって、関学は10日付で日大に抗議文を送付。反則行為に対するチームとしての見解説明と、正式な形での謝罪を求めた。関学アメフト部広報担当者によれば、日大からは15日夜に回答があった。内容については、17日に会見を開いて説明するという。
はたして、今回の危険タックルの背景に、チームからの指示はあったのだろうか。
国内の学生アメフトを中心に扱う専門誌HUDDLE MAGAZINEは15日、「日大蛮行プレーは監督とコーチの指示 複数関係者が証言」と題したウェブ版記事を配信。チーム関係者の証言をまとめたこの記事では、日大の内田監督が試合前日、
「試合に出場したかったら、1プレー目で相手のQBを壊してこい」
と反則を犯した選手に告げていたと指摘。コーチからも「何をしてもいいから壊してこい」「やらないというのはないからな」との指示や念押しがあったとしている。
反則選手は試合後、涙を流していた
記事によれば、この選手はチームから干されていて、精神的にも追い込まれている状態だった。試合の先発メンバー表には、反則を犯した選手の名前はなかったとして、
「つまり、当該選手は関学大QBを『壊す』ためだけに出場の機会を与えられていた」
と糾弾。相手QBを負傷させた選手は試合後に涙を流していた、とも伝えている。
なお、内田監督が同様の指示を出したという関係者の談話は、日本テレビやTBSのウェブニュースやワイドショーでも16日に報じられている。
また、ある社会人アメフト選手も自身のSNSに、「内部からの話が耳に届き、完全にトップダウンの指示によるものだと分かっています」などと投稿していた。
日大広報「報道は事実ではない」
このように、チームから反則行為を促す指示があったこと伺わせる報道がある一方で、日大の広報担当者は16日夕のJ-CASTニュースの取材に、
「一部の報道は事実ではないので、大変困惑している。監督やコーチが、ああいったプレーをしろと指示した事実はない。そんな指示を出しても、仕方がないでしょう」
ときっぱり否定する。なお、同じ広報担当者は14日の取材時にも、「あくまでプレーは瞬間的なものですので、こちらとしては、今回の件は偶発的なアクシデントだったと認識しております」との見解を口にしていた。
一方で、先述の「HUDDLE MAGAZINE」発行人の上村弘文氏は、16日朝の情報番組「とくダネ」(フジテレビ系)に生出演し、
「かなり近しい関係者から、複数同じ証言を取っています。そういった意味では、これは監督の指示であったと言わざるを得ない」
とコメントしていた。