貴乃花親方の人気は健在のようだ。「一兵卒」宣言後初めて審判を務める2018年五月場所3日目の15日、館内に審判紹介のアナウンスが流れると大歓声があがった。
さらに幕内後半には、今場所初めて「物言い」のため土俵へあがると、写真に収めるファンが相次いだ。
「貴乃花親方、大歓声だね」
貴乃花親方はこの日、審判に再就任した。最も客入りが多く注目される幕内後半の勝負審判を務めた。向正面(行司が立つ方向)に座っていたため、NHKの中継でも長時間その姿が映った。
テレビ解説をつとめた北の富士勝昭氏(元横綱)は、「おっ、貴乃花親方、大歓声だね。このまま、まわしをつけて土俵に上がったらどれだけ歓声もらえるかね」と冗談めかして人気ぶりを伝えた。実際、この日の勝負審判5人が館内アナウンスで順に紹介されていくと、両国国技館の観客は貴乃花親方に大歓声と拍手で迎えた。
そして注目されたのが、前頭5枚目・勢と前頭7枚目・竜電の取り組み。行司軍配は竜電に上がったが、同体に近く、審判の藤島親方(元武双山)が手を挙げて「物言い」をつけた。貴乃花親方も、審議のために他4人の審判とともに土俵にあがったのである。
土俵上の貴乃花親方は、口を結んでいたかと思えば、目を大きく見開いたり、時折頷いたりしたほか、藤島親方のほうを見ながら意見を述べる場面もあった。結局行司差し違えと判断され、勢の勝ちへと覆った。
「やっぱり貴乃花親方効果はすげーな」
約2分間に及んだ審議中、写真撮影をする観客の姿はテレビ越しでも目立った。ツイッターでも、土俵に上がった貴乃花親方が印象的だったユーザーは多いようで、
「物言いのシーンを一所懸命写真におさめてるファンが多いので、やっぱり貴乃花親方効果はすげーな」
「大相撲視聴中。物言いで土俵に上がった貴乃花親方の存在感が半端ない」
「早速物言い!! 竜電と勢と晃乃助さんには悪いが、貴乃花親方土俵上で見られて嬉しかった」
「審判してる貴乃花とい 土俵下もいろいろ気になる相撲中継」
といった投稿が続出。
現地で観覧していたとみられるファンは、
「『貴乃花~、マフラーしてへんのんか~』『審判してたらサボられへんぞ~』等の心暖かいヤジが国技館にこだましてた」
「みんな大好き貴乃花親方もw物言いの度に『貴乃花~!応援してるよぉ~!』とか」
と、客席からの声援も聞こえたとの報告が相次いだ。
スポーツ紙各紙の15~16日の報道によると、貴乃花親方は大歓声での迎えに「ありがたい話ですね」と感謝していたという。
貴乃花親方は、三月場所中に弟子の貴公俊が暴行問題を起こした責任から「一兵卒としてやっていく」と宣言。日本相撲協会の理事会の決定で、所属は審判部となり、役職は一番下の平年寄まで降格した。春巡業には帯同しておらず、五月場所は久々にファンの前に姿を現して職務を果たしている。