国内外で分析に差
日立、ソニーともに営業利益が過去最高を更新したわけだが、両社が4月27日に決算を発表した後の初の取引日となる5月1日の株式市場の反応ははっきりと分かれ、日立が買われてソニーが売られる展開となった。日立は一時、855.8円と前営業日比6.8%高まで伸び、終値は850.3円だった。大型連休明けの週も株価は崩れず、800円台後半を維持した。しかし、ソニーは5月1日の株価が「窓をあける」(前営業日安値より当日高値が低い)大幅な下落を記録。この1日終値は前営業日比6.1%安の5073円となり、大型連休明けの週はやや持ち直しているものの、連休前の5400円台は遠いままだ。
利益がともに過去最高を更新しながら日立、ソニーの株価の明暗が分かれたのは、2019年3月期の業績予想が影響したようだ。ソニーは売上高が前期比2.9%減の8兆3000億円、営業利益は8.8%減の6700億円と予想した。一方の日立は売上高が0.3%増の9兆4000億円、営業利益は4.9%増の7500億円と見込んだ。さらに、株式市場が見逃さなかったのは18年1~3月期のソニーの実績だ。営業利益は半導体の落ち込みなどが響き、前年同期比38.6%減の412億円と振るわなかった。
ソニーの決算発表を受け、国内系証券アナリストからは「収益のけん引役がハードからコンテンツへ変化した」(SMBC日興證券)など、好意的な見方が多かった。他方、海外系証券アナリストは概して辛口で、UBSやJPモルガンが先行き不安から目標株価を引き下げるなど厳しい視線を向けたことも投資家の判断に影響を与えたとみられる。ソニーの復活については織り込み済みの側面があっただけに、悪い方の材料に投資家が敏感に反応したとも言えそうだ。