膵臓(すいぞう)の腫瘍(しゅよう)を切除する手術を受けて入院していた沖縄県の翁長(おなが)雄志知事(67)が2018年5月15日に退院し、県庁で記者会見した。病理検査の結果、腫瘍は悪性で、進行度が「ステージ2」の膵がんだったことを明らかにした。
2018年秋には知事選を控えるが、対応については明らかにしなかった。翁長氏は米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設阻止を掲げて14年12月に初当選しているだけに、仮に出馬しないとなれば、移設阻止を目指す「オール沖縄」勢力には痛手になりそうだ。そんな中で、あらゆる機会に移設推進を口にしてきた菅義偉官房長官は、5月15日午後の記者会見で移設への影響を問われ、直接のコメントを避けた。
「出馬というよりも、1日1日の公務についてやっていきたい」
翁長氏は記者会見で、
「1日も早く公務に復帰し、私に与えられた知事としての責任を全うしていきたい」
と早期復帰を目指す一方で、県知事選への対応を問われると
「出馬というよりも、1日1日の公務についてやっていきたい」
と述べるにとどめた。
沖縄県にとって、18年は首長選や市町村議員選を合わせると50以上の選挙がある「選挙イヤー」。1月21日投開票の南城市長選や2月4日投開票の名護市長選が「前哨戦」で、11月に想定される県知事選が「天王山」だと考えられている。
南城市長選は翁長氏が支援する、いわゆる「オール沖縄」の候補が僅差で勝つ一方で、辺野古がある名護市長選では、同じく翁長氏が支援する現職の稲嶺進氏が敗れ、自民、公明、維新が推薦する渡具知武豊(とぐち・たけとよ)氏が当選していた。この直後の2月5日の記者会見で、菅氏は渡具知氏の当選を「大変心強く思う」と歓迎し、辺野古移設についても
「地元の皆さんにご理解を頂きながら進めていきたい」
と述べていた。